« それを看過してきたのは私たち国民の一人一人。。。 | メイン | 単語と文法は自らの言葉で話すための鍵、、、文部省英語も棄てたものではない。。。 »

武力介入への支持支援など愚行暴挙の極み、、、悪の枢軸への従属からの脱却こそ日本が今後進むべき途。。。

■安倍政権は米国の性急なシリア攻撃にブレーキをかけるべきだ

 米国のシリア攻撃は、オバマ大統領が議会にその承認を求める方針に転換し、早くても9日以降に先送りされた。これにより、株式市場も、投資家の中東リスクへの警戒感が弱まり、持ち直している。

 言うまでもなく、米国の性急なシリア攻撃は誰のためにもならない。とりわけ米国の威信が失墜し取り返しのつかない事態に陥る恐れがある。

 当面懸念すべきことが3つある。

「世界の悪を排除する」のは
米国の義務・権利ではない

(1)何よりも、現状での米国のシリア攻撃には正当性、合法性がきわめて乏しい。

 アフガン、イラク両戦争には、「9.11」国際テロに対する自衛戦争の要素もあった。だから、国連憲章で認められた「個別的自衛権」や「集団的自衛権」の発動とみなされる余地もあった。

 だが、今回、米国はシリアから武力攻撃を受けてはいないからどう考えても米国の自衛戦争ではない。

 そうすると、今回の米国の軍事介入は、国際社会の意を受けた「警察行動」として正当化される他はない。

 しかし、国連安保理では中国とロシアが攻撃に反対し、“特別の関係”にある英国も軍事介入の不参加を決めた。

 だから、米国がこのまま予定通り開戦に踏み切れば、米国の内外から攻撃の正当性を強く批判されるだろう。

 そもそもオバマ大統領は、ブッシュ前大統領の「単独行動主義」を厳しく批判し、国連重視の「国際協調主義」を高く掲げて登場したはずではなかったか。米国民の期待はもちろんわれわれの期待もそこにあった。

 オバマ大統領は8月31日「われわれはアメリカ合衆国だ。ダマスカスで起きたことに目をつむることはできないし、してはならない」と強調した。アメリカ合衆国なら何をしてもよいのか。与党民主党の下院議員でも「憲法には、米国が世界の悪を排除する義務があるとは一言も書いていない」と言っている(9月2日朝日新聞)。

 米国憲法どころか、国際法にもそのような米国の義務や権利は存在しない。

 シリアのアサド政権が反体制派に対して化学兵器を使用して多くの犠牲者を出したという疑惑には国連の調査団がシリア入りして調べて31日に出国。採取した犠牲者の血液などの分析をオランダのハーグで急いでいる。化学兵器禁止機関は最長3週間はかかると言うが、どうして米国はその調査結果を待てないのか。

 イラク戦争開戦時に、フランスは、大量破壊兵器の調査を100日延ばすことを主張したが、ブッシュ政権はこれに応じないで開戦。結局、イラクに大量破壊兵器は存在せず、アルカイダとの関係も認められなかった。

 今からでも遅くはない。米国は、最小限①国連調査団の分析結果を待ち、②化学兵器使用の独自の証拠を前面開示し、③それに基づいて中露両国を説得する手順を踏む必要がある。

米国の攻撃で絶望的になる
シリア内戦の平和的解決

(2)一体、米国の予告したシリア攻撃に意図した効果があるのか、建設的な方向を見出すことができるのか。それも再検討する必要があろう。

 オバマ大統領は「短期的、限定的な攻撃」と明言するが、時と場所を明示した攻撃に効果があるとは思えない。攻撃されることが明らかな場所には、それに対抗する備えが当然あるだろう。「明日自宅に逮捕しに行く」と予告すれば、ほとんどの犯人は逃げるだろう。

 また、武力攻撃によって、シリア内戦の平和的解決はほとんど絶望的になることも覚悟する必要があろう。さらに、第6次中東戦争への発展の可能性も高まるだろう。

 議会承認を求めるというオバマ大統領の方針転換は、大統領の胸中に迷いが生じたという印象を受ける。その迷いは内外から歓迎されるところだ。

安倍政権にいま、
求められる正しい対応とは

(3)安倍晋三政権は、米国の性急なシリア攻撃にブレーキをかける役割を果たすべきである。幸い今のところ政権内には慎重論も強いようだ。

 日本政府は、まず米国に「国連調査団の分析結果を待つべき」と強く進言する必要がある。親友が間違いを犯そうとするとき、断固としてそれをとめるのが友人である。

 尖閣問題など東アジアの状況だけを念頭に置いて、米国に無条件に同調するのは筋違いもはなはだしい。

 われわれへの主権侵害をはね返す力は、一にわれわれの独立の気概であり、二に国際世論からの支持である。

 国際世論が納得する安倍政権の正しい対応を期待する。

[DIAMOND online]

ここから続き

Posted by nob : 2013年09月05日 08:33