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再生可能エネルギー開発を推進すると決心して着手すればよいだけのこと、、、これらの問題はすべて解消されていく。。。

■再生可能エネルギーにまつわる6つの神話

 古い考えはしぶといものだ。

 米国では数十年もの間、再生可能エネルギーについて議論されてきた。国民はどのくらい支援すべきなのか、エネルギー政策のどこに位置づければいいのか、実際にどの程度の影響があるのか、といったことだ。

 しかし、再生可能エネルギーに関して私たちが知っていると思っている多くのことは議論の初期の段階のものだ。今日の論点の多くが、もはや現況とは合致しない時代遅れの事実や仮説に基づいている。

 そこで、再生可能エネルギーの擁護者と批判者の両方がそれぞれ固執しているいくつかの神話や確信について検証することにしよう。ここでは主に風力と太陽光エネルギーに焦点を絞った。ここ数年で爆発的に成長している分野であり、エネルギー政策を巡る政治議論の中心にもなっているからだ。

神話その1:再生可能エネルギーは電力源としてはささいなものだ

 再生可能エネルギーに対する批判的な意見の中で最も根強いものの1つは、連邦政府が長年にわたって補助金を投じ、急成長してきたにもかかわらず、国内の電力システムの中でわずかな部分を占めるに過ぎないというものだ。

 風力や太陽光といった「より新しい」再生可能エネルギーを見ると、おおむねその批判は当たっている。風力は発電容量の約5%、また米国の発電量のわずかに4%強を占めるに過ぎない。これは大まかに言って石炭による火力発電の10分の1だ。

 しかし、この批判はある重要な点を見逃している。フーバーダムのような伝統的な水力発電もまた再生可能エネルギーだということだ。水力発電とバイオマス、地熱、太陽光、風力といった他のエネルギーを合わせると、昨年は米国の発電量の12%を占め、今年はこれまでのところ14%近くに達している。原子力発電所の発電量は合計で約19%だ。

神話その2:再生可能エネルギーはすべての化石燃料と取って代わることができる

 批判の対極にあるのは熱狂的な支援だ。エネルギー需要の100%が手頃で信頼できる再生可能エネルギーでまかなえる未来を描いてみせる擁護者も少数いる。

 米エネルギー省の再生可能エネルギー研究所(NREL)はこの問いに取り組んだ。そして技術的には2050年までに米国全土の電力需要の80%を再生可能エネルギーでまかなうことが可能であることが分かった。(この研究は100%のシナリオを考慮しなかった)

 そうかもしれない。しかし、そこに到達するのは長く険しい道のりになろう。研究によると、米国は今後20年間、毎年2万メガワットの発電容量の再生可能エネルギーによる発電所を設営し、それらを毎年徐々に約4万メガワットに容量強化する必要がある。研究は、世界の再生可能エネルギー業界の生産能力が最終的にその水準に見合うことを疑いもしない。研究によると、それよりも難儀になりそうなのが、風力発電所やソーラーアレイ、水力発電所を設置する場所を見つけることだという。

 風力や太陽光発電への巨大な初期投資もまた別の障害となろう。また、再生可能エネルギーの導入が進めば、さらに別の課題も出てくるだろう。多様な発電方法に恵まれた地域では電気の卸売価格がときによってゼロに近づく可能性があることだ。これが年を追うごとに、発電容量への新規の投資判断を込み入ったものにさせるだろう。

神話その3:再生可能エネルギーはコストが高すぎる

 将来の問題は忘れよう。今ここにある別の批判は、電気を生産する手段として再生可能エネルギーは高すぎるというものだ。

 ジャーナル・オブ・エンバイロメンタル・スタディーズ・アンド・サイエンシズに掲載された電気の卸売価格の新たな総合比較によると、石炭による発電コストは1キロワット時当たり3セント、新規の天然ガス発電所は6.2セント、風力8セント、そして太陽光が13.3セントだ。

 しかし、念頭に置くべき2つの大きな問題がある。まず、より大きな風力タービンや、より安価なソーラーアレイといった技術の進歩を主な背景として、コストは急速に下落している。このため、場所によっては風力や太陽光のほうが安上がりになる場合もある。

 エネルギー省が先月発表した風力発電による電気の買い取り価格の合意によると、米国全土で風力発電の買い取り価格は1キロワット時当たり4セント強下落した(2.2セントの連邦税控除分を除く)。

 同様に、ローレンスバークレー国立研究所はソーラー発電の設備を敷設する際にかかる費用の最新レポートを発表した。個人住宅用の小規模な設備にかかる費用は昨年、約13%安くなった。世界的な供給過剰による値下がりが主な背景だ。また大規模な設備の費用も下落した。

 また隠れた費用の問題もある。例えば石炭による火力発電の場合、大気汚染や健康への影響、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出(これらはすべて20日にオバマ政権が発表した火力発電所に関する規制案に盛り込まれている)といった副作用があり、これらは火力発電のコストには計上されない。仮に石炭や他の化石燃料が、その使用によって社会に課している総合コストを計算すれば、石炭による火力発電は最も安い手段にはならず、一方クリーンな再生可能エネルギーはそれほど高いようには見えなくなる。

 この最新の研究によると、これらの隠れたコストをすべて計算に入れれば、異なる発電方法の総合コストはかなり違って見えてくる。既存の石炭による火力発電所のコストは1キロワット時当たり6セント上昇し、本当のコストは9セントになる。新規の石炭火力発電所では同4セント上昇し、13.2セントになる。新規の天然ガスによる火力発電所は1.3セント上昇し、総合コストは7.5セントとなる。一方、風力や太陽光、原子力はコストが上がらない。これらは、ぜんそくの原因にもならなければ、二酸化炭素も排出しないからだ。

神話その4:多様性が再生可能エネルギーを運命づける

 太陽は常に輝いているわけではない。風も常に吹いているわけではない。このため、風力発電所やソーラーアレイは一般的に能力に見合った電力を生み出すわけではない。100メガワットの発電能力のある風力発電所が生み出す電力量は稼働期間全体で平均34メガワットだ。

太陽光発電や他の再生可能エネルギーへ大幅に移行することは技術的には可能かもしれないが、実務上の大きな課題がいくつか生じることになるだろう

 確かに、常に電力を生む再生可能エネルギーもある。地熱と水力がその一例だ。しかし、米国の再生可能エネルギー分野で成長しているのは風力と太陽光であるため、その多様性は批判派にとっての論点であり、送電業者にとっては技術的な課題となる。ローレンスバークレー国立研究所の研究者は、多様性に取り組むには費用がかかるほか、何らかのバックアップ電力が必要であり、再生可能エネルギーで作り出された電気がムダになる可能性さえあると指摘する。例えば、送電業者に送電する気がない、もしくは風力発電を扱える能力がなければ、ただそれを切り捨てるだけだ。

 とはいえ、状況は急速に改善している。風力発電の状況を見てみよう。ここ数年は切り捨てが安定して減っている。送電業者が風力発電の発電予測を利用することや統合することに長けてきたためだ。新しい送電線への投資ペースも上がっており、離れた場所にある風力発電所がより広い範囲に電気を送電することが可能になっている。

神話その5:安い天然ガスは再生可能エネルギーの敵だ

 米国の天然ガスブームを背景に、再生可能エネルギーは比較的クリーンで安いこの燃料に負けると多くが結論づけた。天然ガスは電力セクターの様相を一変させたが、天然ガスと再生可能エネルギーは実際、ライバル同士ではなく相互補完的なものだ。

 米国全体の流れを見ると、この2つのエネルギーが互いに成長できることが明確にわかる。天然ガスによる発電量は09年から12年までの間に34%増加した。風力は同期間で92%の伸びで、太陽光はほぼ4倍となった。ただ、再生可能エネルギーはかなり小さな水準から始まっている。

 確かに、安い天然ガスと風力が競争するには、連邦政府の補助金なしには難しい。しかし、研究者はバランスのとれた発電手段の組み合わせの中で、天然ガスと風力が互いに補完することを発見している。

 電力会社の視点から見てみよう。天然ガスの発電所は初期投資が安く、気まぐれな政府補助金にも依存せず、振れ幅のある電力需要に合わせて発電することが可能だ。このため、天然ガスは現在、信頼できる発電手段だ。短期的に、連邦政府の政策を心配する必要はない。

 しかし、長期的にみると、天然ガスの価格変動は致命的になりかねず、政府の環境関連規則も同様だ。このため風力や他の再生可能エネルギーによる発電所はヘッジ手段として魅力的だ。ほとんどすべてのコストは初期投資だけで、燃料を買う必要がないので、価格変動の心配もない。再生可能エネルギーは有害な排出物がないので、将来的な政府の規制という恐怖に直面することもない。しかも実際、再生可能エネルギーを義務化している州から恩恵を受けることができる。

神話その6:再生可能エネルギーは数百万の雇用創出を意味する

 08年の大統領選挙で、オバマ大統領はクリーンエネルギーへの投資は500万の「グリーンジョブ」を生むとの見通しを触れ回った。雇用創出のアイデアは09年の900億ドル(約8兆8900億円)規模のクリーンエネルギー刺激策やその後の取り組みの根拠となる一助となったほか、今でもオバマ政権が繰り出す大げさな発言の主な要素として残っている。

 しかし、再生可能エネルギーはその支持者が予想したようには雇用創出分野にはなっていない。オバマ大統領が就任してから風力や太陽光発電の数は倍増以上の伸びを示したが、雇用はそうではない。

 再生可能エネルギー分野の雇用数を増やす上で最も困難な部分は、何が「グリーンジョブ」かを見極めることだ。労働統計局は広い定義を思いついた。つまり、環境に利点をもたらす、もしくは企業をより環境にやさしいものにさせる財やサービスということだ。同局の最新データによると、米国には11年に 340万件のグリーンジョブがあった。しかし、その範囲は控えめに言っても広い。民間セクターのグリーンジョブには石油・石炭製品の製造業が含まれる(3244件)。学校と正規のバスドライバー(16万6916件)、伐採搬出(8837件)、製紙工場(1万8167件)、鉄鉱所(3万3812件)といった具合だ。数字があまりにあいまい過ぎるため、クリーンエネルギー分野から創出される雇用数を示す指標としては全く意味のないものだ。 

 再生可能エネルギー分野の直接雇用数のほうが明確だ。12年に風量発電業界は約8万1000人、ソーラー業界は約11万9000人、地熱業界は約2万人を雇用したと言う。水力発電協会は今日、20万人から30万人を雇用していると推計する。

 これらの数字はかなり少なめであるばかりではなく、大きく見ると最近の急激な成長を見る前の08年からあまり増えていない。08年に風力業界は8 万5000人を雇用していた。つまり、風力発電能力が2倍以上になった一方で、雇用数は減ったのだ。ソーラー発電では10年の雇用数が約9万3000人だ。その2年後、ソーラー発電所の数は9倍に増えたが、雇用数はわずか28%の伸びにとどまっている。

 他のエネルギーセクターと比較するとグリーンジョブを巡る約束と現実の対比がより明確になる。例えば、石炭による火力発電は米国の発電手段としてそのシェアが縮小したが、雇用数は約15万人と90年代中盤以降、最大規模となっている。

 またエネルギー分野で雇用数が最も伸びているのは石油と天然ガスの分野だ。エネルギー業界のコンサルタント業務を手がけるIHSセラの最新の研究によると、水圧破砕もしくはフラッキングといった非伝統的な石油・天然ガスの生産手段を用いる業者の直接雇用は約36万人だ。

[THE WALL STREET JOURNAL]

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Posted by nob : 2013年09月25日 17:24