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そのくらいに本当にやりたいことを見つけることは難しい。。。Vol.2
■ふつ~に生きてちゃわからないこと ~「“好き”を仕事に!」なんてありえねぇ!~
じぶんでタイトルを書いていて、こう言うのもなんですが、ふつ~に生きるの「ふつ~」が、よくわかりません。
代官山に住んでいて、大手の出版社に勤務している女性(29歳・独身)はふつ~なのか?
立川市に住んでいて、小さなIT企業に勤務している女性(31歳・既婚)はふつ~なのか?
ど~なんでしょ。
あまり普通ではない(一般的ではない)生き方に、「じぶんが好きなこと、かつ、得意なことを仕事にして生きる」というものがあると思います。
わりと多くの女性が「私らしい仕事をしたい」とか「仕事をとおして自己実現したい」などと言っているようですが、ようするに「じぶんが好きなこと、かつ、得意なことを仕事にして」生きていきたいということではないかと思われます(ちがう?)。
たしかに「じぶんが好きなこと、かつ、得意なことを仕事にする」のは、むつかしい。実力も必要だし、運が良くないと「趣味」にはなっても「仕事」にはならない。
実力があるのか、ないのか、という判断基準だって、相当あやしいものです。スポーツの世界は数字で実力をはかっています。音楽や絵や、こういった文章というのは、いい/悪いの基準が常に曖昧だから、アマチュアとして死ぬまで実力をつけ続けているという、笑うに笑えない人も世の中にはいます(誰も、彼ら/彼女らのことを笑えないと思う)。
好きなことと得意なことと仕事がすべておなじになってしまうと、どうなるのか? あなたが思い描いているように、自己実現とやらができて、毎日が充実して、なりたい私になれて、非常にハッピーなのか?
ときにはそういうことを感じる日もあるでしょう、というか、あります。朝、起きたくもないのに起きる必要もない。行きたくもない会社に行く必要もない。暇な会議に出席して「もう、アニメキャラクターの顔も書き飽きたな」と、アニメキャラでいっぱいになったレジュメの裏を眺めつつ、売れない画伯のようなことをぼやく必要もない。
やりたいことを仕事にするとストレスがほぼない。いいことだ。
でも孤独です。敵は常にじぶんです。「ちょっと2日ほど休んで、気持ちをリフレッシュさせよう」と思って、遠出をしても、もれなくついてくるのは、敵であるじぶん。残念すぎる。気持ちが休まる暇がない。
こうやって文章を書くのは、ひとりの作業なので、特に孤独です。でも淋しくはない。ときどき読者が心温まるメールをくださる。
また、ときどき、「やりたいこと」を仕事にしている人と、お互いの存在をただ確認しあう。人ごみのなかで、偶然、誰かを見つけたときのように、すれ違いざまに、ふと、一瞬、確認しあう。
そんなとき、これ以上の幸せはないよなと思う。
「“好き”を仕事に!」なんてことをしれっと言える人は、好きなことを仕事にしたことがない人か、そこまで好きではない人なんだろうと思います。本当に好きなことを仕事にしている人は、そういうことを言わないから。
本当に「好き!」を仕事にしている人は、幸せをひとり静かに噛みしめて、無口に人ごみにまぎれてゆくのです。
ひとみしょう(作家/コラムニスト/作詞家)
[ANGIE]
Posted by nob : 2013年12月12日 17:04