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バランスの取れた食事と規則正しい当たり前の暮らし、、、に尽きます。。。

■専門家が警告 大ブームの「食事は炭水化物抜き」が一番危ない 糖質制限ダイエットで「寝たきり」が続出中!

「即効性がある」とブームが続く糖質制限ダイエット。だが今、その安全性に警鐘が鳴らされ始めた。その時、体の中で何が起こるのか。手遅れになる前に知っておきたい、超人気ダイエットの真実。

体重と一緒に筋力も落ちる

「3年前に受けた人間ドックで『糖尿病予備軍』と診断されました。定年後は家にこもることが多くなって、体重も70kgから85kgまで増えた。階段の上り下りなど、ちょっと動くだけできついし、息もすぐに切れる。このままではまずいと思い、45歳の息子が『1ヵ月で4kgも痩せた』と喜んでいたダイエットを始めました」

こう語るのは渡辺吉孝さん(70歳・仮名)だ。取り組んだのは、今話題の「糖質制限ダイエット」。

書店には関連書籍がズラリと並び、メディアにも頻繁に取り上げられている。やり方はシンプルで、ご飯やパン、芋、果物などの炭水化物に含まれる糖質の摂取量を一日130g以下に抑えるというもの。炭水化物を極力減らせば、おかずはなんでも、好きなだけ食べていい。

もともとは糖尿病や重度の肥満患者に対する食事療法として考案されたものだが、いまや「手軽に痩せられるダイエット法」として、老若男女を問わず人気を集めている。人気の秘密は、糖質さえ制限していれば、あとは肉でもアルコールでも摂取OKという取り組みやすさと、目に見えて現れる効果にある。

炭水化物の糖分は体内で中性脂肪に変わり、人間のエネルギー源となる。炭水化物を絶つことで中性脂肪を減らして痩せる、いたって単純なメカニズムのダイエット法だ。

冒頭の渡辺さんも、ご飯や麺類などの主食をいっさい抜き、肉をメインとするおかずで腹を満たす食事を続けた。その結果、1年半で9kgのダイエットに成功したのだが、同時に大問題を抱え込んだ。渡辺さんが続ける。

「初めは調子が良かったんです。1ヵ月でお腹回りがスッキリしてきて、体重が5kg減りました。効果覿面だったことが嬉しくて、それから1年半、みっちり糖質制限をした結果、体重を85kgから76kgまで落とすことができました。

当然、体重が落ちれば身のこなしも軽くなるだろうと思っていました。ところが、次第に筋力が落ち、階段の上り下りが以前にまして苦しくなってしまったんです。そんなある日、庭の手入れをしていてトンと尻もちをついたら、それだけで尾てい骨が折れた。入院して検査をしたら、『骨密度が65%しかない。骨粗鬆症です。尾てい骨の圧迫骨折もそれが原因です』と診断されました」

3年前に人間ドックで測った骨密度は75%。ダイエットを経て、たった1年半で10%も落ちたことになる。

このまま長期入院すると寝たきりになるという主治医の判断で、渡辺さんは自宅療養に切り替えたが、いまだに足腰の筋力が戻らず、歩くことができないままだ。

今、このような糖質制限ダイエットによるトラブルが、あちこちで起き始めている。専門家の間でも、糖質制限ダイエットは危険だと警鐘を鳴らす声は大きくなる一方だ。

糖質制限は、なぜ危険なのか。糖尿病の世界的権威で、関西電力病院院長の清野裕医師が解説する。

「人間には一日170gの糖が必要とされています。そのうちの120~130gは脳で消費され、30gは全身に酸素などを運ぶ赤血球のエネルギー源として消費されます。糖質は、生命を維持するために欠かせない栄養素なのです。

糖質を制限してしまうと、代わりにタンパク質を構成しているアミノ酸を、肝臓が糖に作り変えるというシステムが働き始めます。タンパク質を糖に変えられるなら、肉を食べれば問題ないのではないかと思う方もいるでしょう。しかし、人体の維持に必要なエネルギーをタンパク質や脂質でまかなおうと思ったら、毎日大量の肉を食べなければなりません。数kgもの肉を毎日食べ続けることは現実的に不可能です。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、体は自分の筋肉を分解してアミノ酸に変えていきます。結果、筋肉量がどんどん減っていってしまうのです」

認痴症まで一直線

渡辺さんの筋力が落ちた原因は、まさにこれだ。渡辺さんの場合は特に、3食とも主食を完全に抜くというハードな糖質制限を行っていたため、筋肉もどんどん失われていったのだ。なぜ、このような危険な食事制限がまかり通ってしまうのか。

「実は糖質制限ダイエットには、はっきりした科学的根拠やガイドラインがないのです。だから、評判ばかりが独り歩きして、過剰なやり方が横行する。若い人や糖尿病患者が、医師の指導のもとで一定期間やるのはいいでしょう。しかし、65歳以上の高齢者は安易に手を出すべきではない。寝たきりになる危険性が非常に高いからです。実際、私の病院でも糖質制限で筋力が低下したと来院する高齢患者が増えています」(前出・清野医師)

糖質制限ダイエットが引き起こす問題は、筋肉量の低下だけではない。実は骨にも甚大な影響を及ぼす。

「渡辺さんのケースも、糖質制限が原因でしょう。

また、要注意なのは女性。骨粗鬆症は圧倒的に女性に多く、60歳代で 2人に1人、70歳以上で10人に7人が悩んでいます。ダイエットは女性のほうが熱心だからでしょうか。糖質制限を始めて骨粗鬆症を加速させてしまったという中高年女性の患者が、すでに何人か駆け込んできています。筋力が低下したり、骨粗鬆症になってしまった高齢者は、ほんのちょっとの病気や怪我で入院すると、あっという間に寝たきりになってしまいます」(愛し野内科クリニック院長で糖尿病専門医の岡本卓医師)

忍び寄る「寝たきり」の恐怖—。自分の足で立つことができなくなった日から、一体どのような暮らしが始まるのだろうか。

一度失った体力を元に戻すのは容易ではない。多くの場合、みるみる足腰が衰え、家族やヘルパーの手を借りなければ日常生活が送れなくなる。食事、入浴など身の回りの世話はもちろん、いずれトイレも自力でできなくなってしまう。妻や子供におむつを取り替えてもらうのが、もっともつらいと明かす人も多い。

思うようにならない毎日にあなたは絶望し、もう誰とも話したくないと思い始める。そこまできたら、認知症までまっしぐら。やがて判断能力がなくなり、家族の顔も忘れ、孤独のうちに一生を終える—。

ダイエットが引き金となり、このような悲惨な終末を迎えることになってはたまったものではない。だが、これだけでは終わらない。糖質制限は、他にも寝たきりに繋がる病気を誘発すると言われている。

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者が寝たきりになる直接の原因は、1位が脳卒中、2位が認知症、3位が衰弱・老衰で、4位が骨折となっている。

血液もドロドロになる

実は、寝たきりの原因1位の脳卒中も、糖質制限ダイエットと深い関わりがあるということが、最新の医療調査で明らかになった。実例を見てみよう。

荻原貞雄さん(69歳・仮名)は、現在、半身不随で療養型病院に入院している。そこに至った原因が糖質制限によるものだったのではないかと語るのは、荻原さんと長年の付き合いがあるかかりつけ医だ。

「荻原さんは中肉中背で、特に肥満が気になるわけではありませんでした。一日5kmのジョギングが日課で、運動も十分やっていた。そのままの生活を続けていても健康に問題はなかったでしょう。

ところが'08年、ブームに乗って糖質制限ダイエットを始めたのです。荻原さんは半年で6kgも痩せ、かなり細い体つきになっていました。本人もその変化に非常に満足そうでした」

だが、ダイエット開始から4年目の夏、荻原さんは突然病魔に倒れた。脳卒中だった。

「頸動脈の血管エコー検査をしたところ、ひどい高脂血症が判明。血管の壁が1・8㎜の厚さになっている部分もあった。重度の動脈硬化が引き起こした脳卒中だったのです」

荻原さんの身に、一体何が起こったのか。かかりつけ医が続ける。

「一般的に、糖質制限をするとカロリーを補うために脂質やタンパク質を大量に摂るようになります。すると、血管に悪玉コレステロールが溜まっていく。その結果、血管が傷んだり老化が進んだりして、脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性がどんどん高まっていくんです。

特に肉類が大好物だった荻原さんにとって、炭水化物さえ抜けば、あとは何を飲み食いしてもいいという謳い文句は非常に魅力的だったのでしょう。トンカツや焼き肉、ステーキなど、がっつりした肉料理ばかり食べていたため、コレステロールが溜まりに溜まってしまったのです。

病院に担ぎ込まれた時点で半身は完全にマヒ。まさか気軽に始めたダイエットで半身マヒになるとは、思いもよらなかったでしょう。今となっては話すことも不自由で、後遺症を克服するメドは立っていません」

筋力低下、骨粗鬆症、動脈硬化が引き起こす脳卒中—さまざまな病気との関係が指摘される糖質制限。

「今、このダイエットを実践している人は幅広い年代に広がっています。今後さらに時間がたてば、間違いなく寝たきりになる人が続出すると予測されます」(都内病院・骨粗鬆症外来担当医)

見た目と健康、どっちが大事?

寝たきりどころか、最悪の場合、死に至ると警鐘を鳴らすのは、自身が糖質制限ダイエットを実践し、その結果危険な状態に陥った経験を持つ、Rサイエンスクリニック広尾院長の日比野佐和子医師(44歳)だ。

「ご飯からお菓子まで、炭水化物は一切とらず、その代わり好きなものを好きなだけ食べているうちに、瞬く間に15kg痩せました。『効果が目に見えて出る。だから、嬉しくてどんどん続けてしまう』—実はこれが糖質制限の怖いところなのですが、当時は私も、これほど楽なダイエットはないと思っていました。

しかし、続けているうちに常に体がしんどく、眠気が抜けない状態が続くようになりました。そして36歳のある朝、目覚めると右半身がピクリとも動かなかったのです。救急車を呼ぼうと立ち上がろうとしても、右手と右足の感覚が一切ない。これは大変なことになってしまったと覚悟しましたが、幸い10分くらいで動けるようになり、自力で病院に行きました。MRIを撮った結果、微小な脳梗塞があることが分かりました。脳梗塞の前の段階、一過性脳虚血発作の症状でした。

今ならこのダイエットが腎臓や肝臓、血管など、さまざまな部位に障害を引き起こす可能性があると分かっていますが、当時は気づきませんでした。30代半ばだった私でさえ、そのような状態になったのですから、年齢が上がるほどリスクも上がる。高齢者であれば死に至ることも十分あり得るでしょう」

命の危険すら指摘され始めた糖質制限ダイエット。だが、「痩せる」という効果があることは否めない。「身体にやさしい糖質制限」という都合のいいダイエット法はないのか。食物学学術博士の佐藤秀美氏が解説する。

「高齢でも、体型がどうしても気になる、という人はたくさんいると思います。そういった人は、甘い菓子などの炭水化物の間食を辞めるだけで、大きな効果が得られるはずです。

高齢者にとって、タンパク質は何よりも重要で貴重な栄養素。糖質制限のやりすぎで、不足する糖を補うためにタンパク質を消費することは、絶対に避けるべきなのです」

筋肉だけでなく、臓器や皮膚や骨、血液に至るまで、人体のすべての細胞はタンパク質でできている。そして細胞は、1年後にはすべて新しい細胞に生まれ変わる。

「高齢者は消化吸収能力が落ちているため、男子高校生より体重1kg につき必要な1日のタンパク質の量が多い。そうでないと、体が維持できないからです。そんな高齢者が糖質制限をすれば、内臓組織の原料となるタンパク質が不足し、体はどんどん老化します。だから原則的に、糖質を減らしてはいけない。やるとしても、おやつなどの間食を抜くだけにする。高齢になったら、糖質とタンパク質、両方のバランスをよく考えて食事をすることが望ましいのです。

大事なのは、ダイエットは何のためにするのか、ということ。見た目だけが少し良くなったとしても、肝心の健康を損なったのでは何の意味もありません。ぜひこのことを念頭に置き、自分の身を守っていただきたいと思います」(佐藤氏)

特に高齢世代は、ブームだからといって「糖質制限」に飛びつくと、寝たきりのリスクが劇的に高まることを忘れてはならない。

[週刊現代]

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Posted by nob : 2014年02月17日 17:26