« 2015年10月 | Home | 2015年12月 »

どこからのどんな情報を良しとして選択するか、、、自らの生を救うための第一歩。。。

■減塩する必要はなくコレステロール制限も無意味と近藤誠医師

「女性は医療産業のターゲットになりやすいので、気をつけたほうがいいですよ」と語るのは、『先生、医者代減らすと寿命が延びるって本当ですか?』を上梓した、医師の近藤誠先生だ。

「女性は体の変化の波が大きい。生理による毎月の変動に妊娠、出産。閉経を迎えても、やれホルモン補充療法だ、骨粗鬆症だと常にゴールがなく、人生のさまざまな局面で商売の的にされやすい。だからこそ、本当に正しい健康知識で身を守ってほしいんです」(近藤先生、以下「」内同)

 そんな近藤先生に、巷で信じられている健康法に関し、意見を聞いてみた。

“塩分控えめが体にいい”というイメージが定着しているが、近藤先生は否定する。

「昨年、17か国の約10万2000人を対象に塩分摂取量と死亡率の関係を調べたデータで、1日の塩分摂取量を「10g以下にすると寿命が短くなる」と判明しました。総死亡率がもっとも低かったのは、1日の塩分摂取量が10~15gの人たち。それに比べ、7.6g未満の人たちは27%増しという結果となっています」

 日本高血圧学会は、1日の塩分摂取量6gの減塩生活を推奨している。塩分の摂りすぎが高血圧の原因となり、脳出血や脳梗塞、心疾患、慢性腎臓病を招くという理由からだ。しかし、近藤先生は「高血圧が脳出血の原因とする点がまず疑わしい」ときっぱり言う。

「その昔、東北地方の人々はしょっぱい漬物や干物をたくさん食べるために高血圧となり、脳出血になると考えられていましたが、実際には低栄養のため血管がもろくなって破れていたようです。

「女性は医療産業のターゲットになりやすいので、気をつけたほうがいいですよ」と語るのは、『先生、医者代減らすと寿命が延びるって本当ですか?』を上梓した、医師の近藤誠先生だ。

「女性は体の変化の波が大きい。生理による毎月の変動に妊娠、出産。閉経を迎えても、やれホルモン補充療法だ、骨粗鬆症だと常にゴールがなく、人生のさまざまな局面で商売の的にされやすい。だからこそ、本当に正しい健康知識で身を守ってほしいんです」(近藤先生、以下「」内同)

 そんな近藤先生に、巷で信じられている健康法に関し、意見を聞いてみた。

“塩分控えめが体にいい”というイメージが定着しているが、近藤先生は否定する。

「昨年、17か国の約10万2000人を対象に塩分摂取量と死亡率の関係を調べたデータで、1日の塩分摂取量を「10g以下にすると寿命が短くなる」と判明しました。総死亡率がもっとも低かったのは、1日の塩分摂取量が10~15gの人たち。それに比べ、7.6g未満の人たちは27%増しという結果となっています」

 日本高血圧学会は、1日の塩分摂取量6gの減塩生活を推奨している。塩分の摂りすぎが高血圧の原因となり、脳出血や脳梗塞、心疾患、慢性腎臓病を招くという理由からだ。しかし、近藤先生は「高血圧が脳出血の原因とする点がまず疑わしい」ときっぱり言う。

「その昔、東北地方の人々はしょっぱい漬物や干物をたくさん食べるために高血圧となり、脳出血になると考えられていましたが、実際には低栄養のため血管がもろくなって破れていたようです。

 実のところ、塩分摂取量と血圧の関係は解明されていないんです。相関関係はあっても、因果関係があるとはいいがたい。少なくとも、健康な人が1日6g以下に減塩する必要はありません。根拠もなく、むしろ危険。減塩のしすぎは、逆に寿命を縮める可能性があります」

 卵のコレステロールや乳脂肪分を気にしている人も多いが…。

「コレステロールは細胞膜やホルモンの原料となり、生命に欠かせない重要な成分。閉経すると卵巣からのホルモン分泌が止まりますが、副腎や脂肪細胞で女性ホルモンは作られ続ける。

 コレステロールが少ないということは体内の細胞がもろくなることも意味し、低コレステロールの人はがん死亡率が高いというデータもあります」

 1976年から、“長寿地域”として有名だった東京都小金井市の70才の人の食事を追跡した調査がある。10年後に80才を迎えた人の「1日の総摂取エネルギーに対する脂肪の比率」をみると、男性は10年間で23.7%から26%へ、女性は22.5%から26%に増えていたという。

「年をとって、むしろ、こってり系をよく食べ始めた人が長生きしているんです。食事でコレステロールを制限するのは無意味・有害です。肉、魚、卵や牛乳など、脂肪とたんぱく質を毎日しっかり摂ることが、健康に長生きする秘訣ですよ」

[NEWSポストセブン]

Posted by nob : 2015年11月30日 17:03

言わずもがな、、、でしょっ。。。

■タバコ級にヤバい!毎日飲むと「4.6歳も細胞が老化」する飲み物とは

疲れたときにプシュッと開けて飲む、いいですよね~。 えっ? ビールの話ではありません。炭酸飲料水の話です!

全国清涼飲料工業会がまとめた“清涼飲料水品目別生産量推移”を見ると、他の清涼飲料水を押さえて近年は炭酸飲料が群を抜いて生産されていると分かります。

ただ、この炭酸飲料、飲み過ぎると実は細胞の老化原因になるとご存じでしたか? そこで今回は米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の情報を基に、飲み過ぎに要注意の炭酸飲料とその量をまとめます。

■1:砂糖入りの炭酸飲料が細胞を老化させる

炭酸飲料と言っても色々な種類が売られていますが、老化の原因になると指摘される炭酸飲料は砂糖の入ったタイプ。

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校によると、この手の炭酸飲料は細胞の老化を早める原因になるのだとか。

そもそも細胞とは学校で習った通り、人間の体そのものです。人体は60兆個の細胞が積み上がってできているのですね。

そうした細胞は全て、分裂を繰り返して死んでいく“寿命”があります。この寿命は細胞によって違い、1日半で死んでしまう細胞もあれば、神経細胞や心筋細胞のように100年以上生き続ける細胞もあります。

■2:老化の悪影響はタバコ級

しかも同大学の調べによると、500mlペットボトルの砂糖入り炭酸水を1日1本程度のペースで摂取するだけで、4.6年分も細胞の寿命が短くなってしまうと分かったとか。

言い換えれば細胞が4.6歳も老け込んでしまうのですね。この悪影響はなんと喫煙と同程度……。

まだ同調査には課題が多いと研究者たち自身も認めていますが、これから炭酸飲料水を飲む際には成分表をチェックし、炭水化物(糖質+食物繊維)の量を確かめてください。

炭酸飲料水には基本的に食物繊維は含まれていないと考えられますので、ほぼ炭水化物=糖質の量なのです!

■3:細胞の寿命のメカ二ズム

前述の通り、細胞は分裂を繰り返しながら寿命をむかえます。この細胞分裂と寿命の鍵を握る物質が“テロメア”と呼ばれるもの。

細胞の核の中には遺伝子がギュッとまとまった、普段はこけしのような形をした染色体があります。この染色体の両端に被さっているニット帽のような存在がテロメアです。

テロメアは長さが重要で、細胞分裂のたびに短くなってしまいます。長~いニット帽が巻き上がってどんどん短くなってしまうイメージ。

そして一定のサイズをテロメアが下回ってしまうと、その染色体(&テロメア)を抱え込んだ細胞は分裂できずに死んでしまいます。

実は砂糖の大量に入った炭酸水の日常的な摂取は、正確な仕組みは分かっていないそうですが、このテロメアを短くしてしまうと指摘されているのですね。

いかがでしたか? 今は清涼飲料水のメーカー各社も消費者の健康を考えて、さまざまな商品を出してくれています。できるだけ炭水化物(糖質)が少ない炭酸飲料をチョイスする習慣を作りたいですね。

(ライター 坂本正敬 )

[NEWSポストセブン]

Posted by nob : 2015年11月30日 16:42

私がバニック障害を発症したのも爆弾低気圧の日でした。。。

■そのうつ、実は天気のせいかも…本当は怖い「天気痛」

「雨が降る前は片頭痛が悪化する」「低気圧が来ると、昔ケガをしたところが痛む」など、これらは気象の変化によって持病が悪化することを指すもの。昔から天気と人の体調には相関関係があるが、近年、大型台風の増加などの異常気象により、天気痛を訴える人が増えているとう。

 しかも実は、「天気痛」という言葉の名付け親でもあり、愛知医科大学病院で「天気痛外来」を開設している医師の佐藤純氏によると、頭痛や関節痛だけでなく、うつや不安症、不眠症といった心の病気も、天気の変化に左右されるのだそうだ。

そのうつ、実は天気のせいかも!? 本当は怖い天気痛「気圧が上がったり下がったりすると、自律神経が乱れ、不調が生じるのが天気痛のメカニズムですが、『心の不調』といわれる諸症状も、気圧の変化に大きく左右されます。例えば、最近増えている新型うつ。また、心の中にもやもやとした感情を抱えている不安症、人と話をするのが得意ではない、過去の出来事にショックを受けて引きずっている、パニック発作など、広範囲に及びます。重症患者さんじゃなくても、天気の変化が激しい春、梅雨、秋などは、『何故か気持ちが落ち込む』『だるくて起き上がれない』となる方は多いです」(佐藤氏)

10年以上も悩まされていたうつが、ある日突然……

 これを裏付けるような、実際の診療例がある。原因不明のうつが、実は気圧由来だったというケースだ。

 佐藤氏の診療室の門をたたいた50代のある男性は、10年以上も原因不明のだるさやうつ的な症状に悩まされていた。その男性は理科系の研究開発をしており、仕事の内容は緻密さを要求される厳しいもの。産業医からの診察を受けて休職したものの、復職してもしばらくするとまた心身の不調が起こり、10年のうちに5~6回休職と復職を繰り返したという。

「そのうち、自分の症状が『天気にも左右されているのではないか』と思うようになったのだそうです。というのも天気が悪い日は、あからさまに起き上がれなくなってしまう。産業医や精神科の先生にそう訴えたものの『まあ、天気も関係あるんだろうが、今のところは天気にはなすすべがない』と言って、睡眠薬や精神に作用する薬、内科的な症状に合わせた薬を処方してもらうしかなかったそうです。そして薬を服用していても、特に劇的な改善がないまま月日だけが過ぎていきました」(佐藤氏)

 そんなある日のこと。テレビで佐藤氏が天気痛について解説しているのを見た男性は、「自分の症状はこれなんじゃないか!?」と思い当たった。

「私がテレビで紹介した『天気痛には、内耳の働きをおさえる酔い止め薬が効く』という方法をとりあえず試してみようと、これから具合が悪くなりそうだなと思ったときに、市販の酔い止め薬を飲んだそうです。すると、モヤモヤ・うつうつとしていた頭が、みるみるうちにパーッと明瞭になって、驚かれたそうです」(佐藤氏)

 この経験によって、男性は「自分のうつは、内耳に関わる天気依存の症状に間違いない」と確信。その後、医師の紹介で佐藤氏の外来を受診したが、その時点でうつはかなりラクになっており、「復職できます」と笑顔を見せていたという。

「私の外来に来るのは女性のほうが多いですが、男性も潜在的な患者さんがいると思います。特に働き盛りの男性は、具合が悪くても我慢する傾向にあります。原因不明の体調不良に悩まされるようになったら、『自分は天気痛かも』と疑ってみることが大切です」(佐藤氏)

【佐藤純氏】
愛知医科大学病院で「天気痛外来」を開設。著書に『天気痛を治せば、頭痛、めまい、ストレスがなくなる!』などがある。

[日刊SPA]

Posted by nob : 2015年11月30日 16:36

言わずもがな、、、属国からの脱却こそが真の危機管理の第一歩。。。

■安保法制で急進する日米軍事一体化 防衛省も驚いた安倍政権の米兵器2兆円の“爆買い”

 安保法制の施行を控え、9.11の再来のような仏同時多発テロが勃発(ぼっぱつ)。日本人にも危機が迫っている。米国率いる有志連合の一員として地球の裏側までお供すれば、自衛隊員の“戦死”は免れないという厳しい現実があるのだ。急ピッチで進む、日米軍事一体化の裏を探る。

 有志連合を率いる米軍と行動すると、国内に多くの米軍基地を抱える日本本土がいつの日か、テロの標的にされてもおかしくはない。

 現在、日本の米軍基地は130施設あり、うち米軍専用は81施設。約300平方キロメートルにも及ぶ。

 残りの49施設は米軍が現在、共同利用している自衛隊基地だ。逆に米軍専用施設の中に自衛隊の部隊や施設が併設されているところもあり、こうした日米の一体化は急ピッチで進められている。防衛省関係者の解説。

「自衛隊と米軍の一体化は00年代前半からはじまり、財政が苦しい米軍はコスト削減のため、基地を将来的に自衛隊へ返し、米軍が自衛隊の基地を間借りするという方向に転換。外務省、防衛省、財務省などの担当官僚と在日米軍司令部幹部が出席する日米合同委員会の席で、あうんの呼吸でこの流れは決まった。沖縄にある米軍基地、キャンプ・シュワブ、ハンセン、北部訓練場もいずれ、自衛隊に返されることは暗黙の了解となっている。辺野古も同様です」

 今年4月に改定した新ガイドラインでも「日米両政府は自衛隊及び米軍の相互運用性を拡大し(中略)施設・区域の共同使用を強化」がうたわれ、その布石は近年、着々と打たれてきた。

 戦闘機部隊などを指揮・統括している航空自衛隊の航空総隊司令部は12年3月、米軍横田基地(東京都福生市など)に移転し、在日米軍司令部と同居。

 両司令部間の連携を向上させることを理由に「共同統合運用調整所」なるものが設置された。これは弾道ミサイルへの迎撃など対処を指揮するために設けられた調整所で、室内には大型スクリーンを備えている。

「憲法上、自衛隊は米軍と一体化してはならないとなっている。ミサイル防衛は画面を見ながら作戦を立てる『コモンピクチャ』と呼ばれる作業があるが、9条のため、所内で日米の部屋は別々にしてあり、両部屋の真ん中にわざわざ共同部屋を作っています。在日米軍の各司令部にも計28人の自衛官が連絡調整要員として常駐しています」(防衛省関係者)

 防衛相直轄の陸自の中央即応集団という司令部も13年にキャンプ座間(神奈川県相模原市など)に移った。

 在日米海軍司令部のある横須賀基地(同横須賀市)には10月、横須賀を事実上の母港とする原子力空母としては2隻目となるロナルド・レーガンが入港し、米船舶数は過去最多になった。

「湾岸戦争やイラク戦争の時も、米軍は日本から出撃した。ISとの戦線が泥沼化し、拡大すれば、米国本土よりセキュリティーが脆弱な日本が狙われる可能性も出てくる」(元自衛隊員)

 沖縄を犠牲にした日米軍事の一体化、自衛隊の隷属化を進めることは、大きなリスクを背負うことになる。だが、安倍政権は米国に要求されるまま、従属し続けている。

 日本は約40年間毎年、いわゆる「思いやり予算」を支払ってきた。95年以降は2千億円前後、計上している。

 思いやり予算で負担するのは、基地で働く日本人従業員の賃金、米軍人の水道光熱費だ。ほかにも、基地内のゴルフ場やテニスコート、映画館など娯楽施設、教会、小学校や幼稚園などの建設費も賄う。しかも、米軍住宅は3LDKで広さは120平方メートル、駐車場とバーベキュースペースまで付けている。

 思いやり予算の支払額は、5年ごとの日米両政府による特別協定で決められ、日本側は今年700億円の減額を提案したのに対し、米国は逆に30%(約570億円)の増額を要求した。

 その上、安倍政権になると、米国から輸送機・オスプレイを17機、無人偵察機グローバルホーク、ミサイル迎撃に対処できるイージス艦など計2兆円以上を次々と“爆買い”。軍事ジャーナリストが言う。

「オスプレイは当時の防衛相がボタン一つでヘリの羽根が閉じることに感動した、と購入した。現場はどうするんだと頭を抱え、配備計画に頭を悩ましている。空中給油機など高価な買い物をローンでどんどんしている。有志連合に加盟する他国やゲリラも同様に米、仏から兵器を購入。軍事利権が裏で蠢(うごめ)く限り、テロは終息しない」

(本誌・亀井洋志、西岡千史)

[週刊朝日]


■IS戦線 自衛隊が“戦死”する日

 フランスのパリで起きた同時多発テロで、EUが11月17日、初めて相互防衛条項を発動した。今後は米国への9・11テロで集団的自衛権を発動した北大西洋条約機構(NATO)の対応が焦点となる。

 フランスが過激派組織「イスラム国」(IS)の「全滅」を呼びかけ、国際包囲網が敷かれる中、日本も何らかの役割が求められる可能性は高い。元内閣官房副長官補の柳澤協二氏はこう分析する。

「地上軍の派遣は、オバマ米大統領は今のところ否定している。ただ、空爆だけではシリアの内戦が治まるとは思えない。今後、地上軍を派遣すべきとの議論も出てくるだろう。国際社会がシリアの内戦にどう対処するか。地上軍の派遣ということになれば、何らかの支援を求められることは間違いないだろう」

 ISは新たなビデオ声明を発表し、米国の首都ワシントンを攻撃すると警告。

 そんな中、共和党の大統領選指名候補獲得を目指すジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事はIS打倒のため、シリアなどへの地上部隊の派遣を声高に主張した。

 米国がISに攻撃を受ければ、慎重なオバマ大統領も地上戦に突入せざるを得なくなる。安保法制を批判してきた軍事評論家の前田哲男氏はこう懸念する。

「アメリカがテロの標的となったとき、安倍政権が安保法制を発動する可能性がある。戦闘地域への捜索・救援活動などの任務があって、この場合、戦闘現場であっても活動を継続することができるようになります」

 憲法違反との批判を振り切ってまで安倍政権が成立させた安保法制で、自衛隊がいよいよ地球の裏側まで米軍に駆り出される可能性が現実味を帯びてきた。IS取材でシリアなど現地をルポしたアジアプレスの坂本卓氏も指摘する。

「実戦経験のない自衛隊がいきなり地上軍の戦闘に参加することはなく、最初は後方支援で輸送機などを派遣する形になるだろう。米国からの要求も段階的に上がり、最初はNGOなど民間人や食料品、次は武器、やがては兵士の輸送となってくる。後方支援なら安全かというと、そうではない。ISはミサイルの装備も整えていて、7月にはエジプトの艦船に小型ミサイル攻撃を仕掛けている。自衛隊の航空機も攻撃される可能性はある」

 2001年の9・11当時、小泉内閣は海上自衛隊の護衛艦と補給艦をインド洋に派遣して補給支援を行わせた。03年からの対イラク戦争でも陸上自衛隊をサマワに派遣し、復興支援をさせたが、死者は出なかった。

 だが、安保法制により、他国部隊などが襲われた場合、助けに向かう「駆けつけ警護」などの任務が解禁となる。そのため、「自衛隊員の犠牲は避けられない」と軍事ジャーナリストの田岡俊次氏は警告する。

「もし、シリア政府が他国の地上部隊を受け入れるならば、日本がそれに加わってもどこの国からも非難は受けない。だが、日本の部隊が駆けつけ警護や輸送、補給、検問などをすれば、数十人程度の死傷者が出る可能性はある」

 前出の坂本氏は、自衛隊が自爆テロの対象となる危険性もあると指摘する。

「IS は最近では少年兵も養成している。仮に自衛隊がサマワのときのような支援をすることになった場合、少年兵として訓練された子供が、市民にまぎれて自衛隊と接触してくるかもしれない。自衛隊員も、明らかな自爆目的の車両であれば、対戦車砲などで阻止できるが、農家が使うようなトラックに擬装して攻撃を仕掛けてきたときは、攻撃していいのか、判断がつかない。実際にそういうことは起こりうる」

 あるいは逆に現地で人々を誤射するリスクもある。

「仮に一般車両を自爆車両と間違えて誤射すれば、地元民との信頼関係が失われてしまう。誤射と隣り合わせの任務は、隊員にもかなりのプレッシャーとなる。それとも、『一般市民の多少の犠牲はしょうがない』と割り切って攻撃するのか。自衛隊員は苦悩すると思う」(坂本氏)

 来年3月にも予定されている安保法制施行に向け、内閣法制局や防衛省などが新たな交戦規定を極秘協議。テキスト作りを進めているという。

「武器使用基準を拡大し、自分たちの身を守りやすくしただけでは戦場で身は守れない。駆けつけ警護や検問、補給などの際、敵と対峙してしまったら、まず最初は足元を狙い、次は急所の胸を撃つとか、そういうシミュレーションも決めていかないといけない。相手を殺すことを前提に考えなければ、命を落とすのは自衛隊員だ」(防衛省関係者)

(本誌・亀井洋志、西岡千史)

[週刊朝日]

Posted by nob : 2015年11月27日 23:10

因果応報/そのとおり!!!Vol.51

■田原総一朗「IS問題の根源は侵略行為の責任を取らない欧米諸国だ」

 欧米にテロ予告をするイスラム国。各国で応戦の動きをみせているが、大国の思い通りに決着はつかないのではないかとジャーナリストの田原総一朗氏は懸念する。

*  *  *

 11月13日の夜、パリ市内と近郊の6カ所で同時多発テロが起き、129人が死亡し、300人以上が負傷した。新聞やテレビは連日、この同時多発テロを大きく報じている。

 犯人は3チームに分かれ、ベルギー在住のフランス人たちが中軸になっていたようだ。IS(「イスラム国」)がテロを行ったと声明を出した。フランスのオランド大統領は「これはフランスに対する戦争だ」と断言し、「フランスは断固戦う。ISに報復措置をとる」と強調した。

 だが、「断固戦う」とはどういうことなのだろうか。もちろん、フランス大統領としては「テロ」に屈しない強い姿勢を取らざるを得ないだろう。だが、空爆の強化では同時多発テロへの対応にはならない。さらに今後、フランスで、いやアメリカやイギリスでもISのテロが起きる危険性がある。

 ところで、シリアの状況は極めて複雑である。アメリカやフランスはアサド大統領の失脚を図って、反アサド勢力を支援している。それに対してプーチン大統領のロシアはアサドを全面的に支持しているのである。そしてISはアサドとも、アメリカ、フランスやロシアとも対立しているのである。

 アメリカやフランスがアサドの勢力地帯とISの勢力地帯を爆撃しているのに対し、ロシアはISを爆撃すると見せかけて、実は米仏が支持している反アサド勢力地帯を爆撃している可能性も大いにある。アメリカとロシアが対立し、間接的にではあるがお互いに爆撃し合っているのでは、ISの勢いは増大するだけだ。そこでオランド大統領は16日、ISと戦うためにアメリカとロシアが協力することを要請したようだ。

 私は率直に言うと、アメリカがなぜアサドを潰そうとしているのか、よくわからない。「独裁だから」というのが要因のようだが、実はアメリカはそれで大失敗しているのだ。

 イラクのフセイン大統領は独裁者であった。だが、その独裁下でイラクは安定していたのだ。ブッシュ大統領のアメリカは、大量破壊兵器を隠し持っているとか、アルカイダと緊密な関係にあるとか、ありもしない理由をつけてフセイン大統領を潰した。そのためにイラクは大混乱し、混乱の中で、ISが生まれたのである。いわば、ISをつくったのはアメリカなのだ。

 アサド大統領が潰れれば、シリアはさらに混乱することになり、ISが事実上の権力を握る可能性だってある。

 話が脱線した。オランド大統領の要請で、オバマのアメリカとプーチンのロシアが協力する可能性はある。

 だが、私はイスラムの世界はアメリカ、ロシア、フランスといった大国に都合の良い戦略では決着しないのではないかととらえている。

 日本は太平洋戦争に敗れ、1928年のパリ不戦条約以後の戦争の責任を全面的に取らされた。そのため、シリアの空爆になど参加しない「平和国家」となった。だが、アメリカ、イギリス、フランス、ロシアなど戦勝国は、実は第1次世界大戦前のアフリカ、アジア、中米での数々の侵略行為の責任をまったく取っていないのだ。

 例えば英仏ロの3大国は1916年に「サイクス・ピコ協定」という密約を結び、中東地域の国境の「線引き」を勝手に定めてしまった。ISはそれに怒って、イスラムの独立の旗印を掲げているのである。

[週刊朝日]

Posted by nob : 2015年11月27日 23:02

食事法おさらい/コンビニスローカロリーセレクション

■「食べる順番」食事法、1品で実践する技がある
外せないキーワードは「スローカロリー」

丸田 みわ子
美養食研究家/シニア野菜ソムリエ(野菜ソムリエの最高峰)
自身の体調不良により、健康でスリムで美肌になる 野菜や果物の効果をもっと追究したいと、野菜ソムリエの最高峰であるシニア野菜ソムリエを取得する。
「真の“美”体質」をテーマに、 カラダの中から"美"を養う料理を発信。
「美養食研究家」として、料理教室やセミナー、レシピ開発、 商品プロデュースなどを手掛けている。これまでに考えたレシピは400点、スムージーレシピ100点以上。

「食べる順番」食事法を、コンビニアイテムで実践するには?

今年4月に施行された「機能性表示食品」制度。半年が経過し、届け出件数は300件、受理商品は100件を超える規模になりました。これにより「食事のあり方」が国をあげて見直されているわけですが、忙しいビジネスパーソンの食事にも変化が見られています。

なかでも「糖質オフ」や「食べる順番(最初に野菜類を食べ、その次に肉や魚、最後にご飯やパン、麺類を食べる、というもの)」の考え方は、ただのブームにとどまらない食事法として根付いた感があります。

「スローカロリー」な食べ方とは

また、機能性表示食品制度の開始をにらみ、食品メーカーや医療関係者のグループが研究を進めてきたのが、「スローカロリー」という分野。これもやはり、生活習慣病予防をはじめとする、健康的で規則正しい食生活を推奨するためのものです。

「スローカロリー」は、ゆっくりと消化吸収される糖質の摂り方をしましょうという考え方。具体的には、血糖値が急に上がったり下がったりしない甘味料、糖質が含まれていても食物繊維が多く血糖値が上がりにくい食品(果物、玄米、全粒粉、シリアルなど)を推奨しています。

糖尿病や高血圧、メタボなどの生活習慣病を予防するには、糖質制限が最重要。ただ、たとえばスポーツをする場合などを考えると、糖質はなくてはならないエネルギー源でもあります。どうしても一方に偏りがちですが、そこを「二兎とも追う」ことのできる食事法こそが、スローカロリーな食べ方なのです。

では早速、気をつけるべき点を具体的に見ていきましょう。

基本は「食べる順番」でお馴染みになりましたが、まず野菜料理を最初に食べること。これにより食物繊維がお腹にたまるので、次に食べる物の消化吸収をゆっくりと行い、血糖値の急上昇を防いでくれます。

次に摂るべきは、肉や魚、大豆製品などのタンパク質。お肉については脂質の摂りすぎにならないよう気をつけなければいけませんが、食物繊維が先にお腹に入っていると、高脂肪のリスクがいくらか軽減されます。

タンパク質はスポーツをする人だけでなく、人が生活をする上で必要な筋力をつけてくれる大事な栄養源。そして最後に摂るご飯やパン(糖質)は脳のエネルギーになるので、成長期のお子さんやスポーツ選手に必須の栄養源になります。

また、スローカロリーの考え方では糖質の「質」を上げるために、白米を玄米や雑穀入りご飯に、白いパンを全粒粉やライ麦入りパンに、甘味料は白砂糖ではなくオリゴ糖(てんさい糖)、パラチノース、ラ・カントなどの天然成分でできた甘味料を摂ることを推奨しています。

コンビニで探せる「スローカロリー」な食品

コンビニや食品メーカー各社は日々、この食べ方にあった製品を開発、商品化していますので、チェックしてみてください。

おかずが複数入ったお弁当なら、「食べる順番」でスローカロリーな食べ方を実践できますし、一品で済ませたいなど、食べる順番を無視せざるを得ないときのための「スローカロリー食品」もありますよ。
〈みわ子流、「スローカロリー」の助けになるコンビニアイテム!〉

・バータイプの菓子類
ソイバーやシリアルバーは、忙しくて昼食が取れない時やおやつにピッタリ。大豆やシリアル、雑穀、ナッツ、ドライフルーツには食物繊維が含まれています。
その上大豆はタンパク質、ドライフルーツや雑穀には糖質も含まれるので、スローカロリーな食品と言えるでしょう。

・おむすび類
忙しい時のデスクでのランチに食べやすいおむすびは、玄米のものや、雑穀入りのもの、大麦ご飯のものなど、単品でも食物繊維がとれるものも登場しています。
白米のおむすびでも、五目御飯や豆ごはんなら野菜がたくさん炊き込まれているので、いくらかスローカロリーなおむすびと言えるでしょう。

・ゆで卵
おむすび中心のランチの際、一品加えるといいのがコレ。複数あるアミノ酸(タンパク質)がすべて揃っているうえ、1個あたり約75キロカロリーと安心できる範囲です。高血圧予防のためにも、塩はつけすぎないようにしましょう。

・ドライフルーツ、冷凍フルーツ
糖度はやや高めですが、食物繊維が豊富なので、消化吸収が緩やかで血糖値の上昇も緩やかに抑えられます。おまけにビタミンやミネラルも摂取できます。お菓子を我慢したいけど甘いものが欲しいときに重宝する健康おやつです。
また冷凍フルーツコーナーでは、もともと糖度が低いイチゴ、ブルーベリー、アサイーなども見つかります。

・買い置きの砂糖類
オフィスで飲むコーヒー・紅茶に砂糖を入れる習慣がある方は、白砂糖系(スティックのグラニュー糖、角砂糖など)ではなく、オリゴ糖(てんさい糖)、ラ・カント、スローカロリーシュガー(パラチノース)にチェンジしてみましょう。

11月も後半に入り、来週からはいよいよ師走。忘年会シーズンは暴飲暴食をしがち。冬太りは生活習慣病リスクを高めるので、食べ方を少し工夫して、体の負担が少ない食生活を身につけておきましょう。

[東洋経済ONLINE]

Posted by nob : 2015年11月27日 20:11

酵素 VS ファイトケミカル、、、すべては諸刃の剣、バランスが何より肝要です。。。

■がん予防 野菜は皮ごと煮込み汁ごと食べるのが効果的と医師

 がん予防に効果的な栄養素、“ファイトケミカル”とは、植物が作り出す天然の機能性成分。毎日意識してしっかり摂ることで、がんを作り出す原因は撃退できる。

「健康な人でも、体内では毎日5000~6000個の“がん細胞の芽”が生まれています」(麻布医院院長 高橋弘さん・以下同)。

 つまり、誰もががんのリスクを持っているというのだ。1つのがん細胞が成長して、がんになるには、平均9年かかる。いち早くその芽を摘み取り、成長を食い止めれば、がんを防ぐことができる。

 がんによる死は、約35%が食事、約30%が禁煙、約10%がウイルス感染の予防で防ぐことができるといわれる。中でも重要なのが食事で摂る野菜の量だ。野菜の消費量とがんの発症率は密接な関係があると高橋さんは指摘している。

「野菜の色や香り、辛みなどの成分をファイトケミカルといいますが、この成分がすごいのは、活性酸素を除去する抗酸化作用、免疫力を高める作用、がん細胞の増殖を抑える作用、そのいずれもが非常に優れている点です。がんを防ぐには、このファイトケミカルを含んだ野菜を毎日350~400g摂ることが必要です」

 ファイトケミカルは、硬い細胞壁で覆われた細胞の中にあるため、野菜を生食したのでは、体内には吸収されにくい。

「加熱すれば、成分が細胞の外に溶け出てきます。特に豊富なのは皮や芯ですから、できるだけ皮ごと煮込み、汁ごと食べるのがおすすめです」

 逆に控えたいのが、鉄の多い肉類や魚介類。鉄は体内に酸素を取り込むのに欠かせないミネラルだが、取り込んだ酸素の約1%は活性酸素になるため、鉄が多すぎると、活性酸素が増えてしまう。しかも、鉄を介してできる活性酸素は毒性が強い。

「女性は閉経後、がんの発症率が上がります。それは、生理によって鉄が排泄されなくなるのも一因。特に閉経後は、鉄分の摂りすぎに注意。また、がん細胞の成長を進める高GI値(糖質が多い)の食品も控えめにしましょう」

[NEWSポストセブン]

Posted by nob : 2015年11月25日 10:38

(既得権層に)不都合な真実が自ずと伝えられることはない。。。Vol.5

■東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

広瀬隆 [ノンフィクション作家]

3人の元総理は、
なぜ「脱原発」に転向したのか?
――吉原毅×広瀬隆対談【最終回】

脱原発に転向した
3人の元首相

広瀬 私たちはこれからも吉原さんはじめ、城南信金のみなさんがどんどん表に出て発言してくださることを、とても期待しています。金融機関ですから、心強い味方です。

 吉原さんは今年6月に理事長を退任されましたが、今の役職は何ですか?

吉原 「城南信用金庫相談役」であり「城南総合研究所所長」。「所長」兼「小使い」です(笑)。

広瀬 たしか、元首相の小泉純一郎さんが「名誉所長」ですよね。

吉原 はい、小泉純一郎さんも『東京が壊滅する日』を読んでいます。「素晴らしい本だ」とおっしゃっていました。
『二酸化炭素温暖化説の崩壊』(集英社新書)も含めて、かなり広瀬さんの本を熟読されていますよ。

広瀬 私は過去に小泉さんの悪口をいっぱい書いているので、会いにくいのですが(笑)。

吉原 小泉さんは常々、「民主主義だからいろんな意見があっていい」と言っています。いちいち感情的にならずに、自分の意見は堂々と言う。「他人が反対意見を言ったからといってつぶしてはいけない」と。

広瀬 うれしいことに、私が批判してきた総理候補と、歴代首相3人が次々反原発に変わってくれました。
 小沢一郎、細川護煕、小泉純一郎、菅直人の4人を批判してきましたが、現在は4人とも私たちの味方ですからね。この変化が大事な進歩だと思います。安倍晋三は退歩だけ!!

吉原 私は一般の方を対象に脱原発をテーマに講演をしています。
 女性には原発反対の人が多いのですが、大学生などの若い男性、働き盛りのビジネスマンや経営者を中心に「原発は必要」という声がまだあります。
 その理由を聞くと、「原発がなくなると経済が悪化し、文化的な生活は維持できない」とか、「景気が悪くなって就職できなくなり、仕事がなくなる」など、誤解をしている人がいっぱいいます。

広瀬 原発を止めるためには、その人たちにこそ正しい知識を持ってもらう必要があります。
 私が吉原さんに講演をお願いしてきたのは、そうした原発推進論者を、吉原さんが経済的な面から正しく説得して、原発無用という結論を信じてくれるようになるからです。

 今、愛媛県の伊方原発の再稼働問題がクローズアップされていますが、地元紙「愛媛新聞」の世論調査では、うれしいことに県民の7割が反対しています。
 今年の10月9日に愛媛県議会が再稼働に賛成しましたが、「愛媛新聞」は社説で、「この県議会の決議はなんの意味もない」
とはっきり書いていました。

 でも、残り3割が反対してくれればもっと大きな力になります。再稼働反対を8割から9割に増やしましょう。できますよ。
 推進論者は、ほとんどが経済的な理由ですから、「原発ゼロのほうが自分に利益が出る」とわかれば、私たちの味方になってくれます。そのためには、誤解している人、無関心な人に正しい知識を持ってもらいたい。

 そういう意味で吉原さんは、我々にとって異色のスターです。稲盛和夫さんが浜岡原発反対署名に参加してくれましたけど、先頭に立って実践活動をしてくれた企業人は、吉原さんが初めてですから。

なぜ、1000万円以上の寄付が集まったのか?

吉原 広瀬さんと初めてお会いしたのは、2012年6月27日でした。当金庫に口座を開設したいとおっしゃって。

広瀬 国会前での大飯原発の再稼働反対デモの様子をメディアがきちんと報道しないので、腹が立って、NHKたちにプレッシャーをかけるために、自分たちでヘリコプターをチャーターして、抗議活動を空撮しようと考えたときでしたね。その寄付金を集めるために、世の中で最も信頼されている城南信金に口座を開設してもらったのです。

「正しい報道ヘリの会」というのは吉原さんの命名で、第1号として、吉原さんがへそくり10万円を寄付してくださったので、私も10万円入れてスタートしました。

吉原 わずか数日間で1000万円以上の寄付が集まって、志のある方が本当に多いのだと改めて感動しました。心強いですね。

広瀬 城南信金だからあれだけの人気になったと思います。名の通り信用があるから、お金を集めるなら吉原さんしかないと思って、あの日、頼みに行ったのです。

吉原 最近では、話題となっている、SEALDs様にもご用命いただいているようです。

広瀬 そうですか。

吉原 するとネット右翼が攻撃してくるのです。ネットに悪口雑言が書いてありました。「そのうち金融機関も痛い目に遭うぞ」というような脅迫も。ああいうのはよくないですね。「我々は絶対に屈しないぞ」と社内で言い合っています。

広瀬 気にすることはありません。あんなのは「張り子の虎」です。
 どこかから金をもらって騒いでいるチンピラで、本当の右翼じゃない。ヘイトスピーチをやっている連中もそうです。だから大丈夫。こっちは強いですから、絶対ゆるがない。

電力会社の地域独占体制を
崩す方法

広瀬 今後は原発反対運動をどう展開しようと考えていますか?

吉原 これから一番大事なのは、電力会社の地域独占体制を崩すことでしょう。電力会社の地方支配力はものすごい。

広瀬 確かにすべての経済を握っていますからね。電力会社は就職の斡旋までやる。

吉原 お祭りのときの奉納金、議員には盆暮れに商品券、土建業や旅館業には利幅の大きな仕事、高校生には就職の斡旋……。

 でも、2016年4月1日に電力が自由化されますから、一部の人間がおかしな使い方をすることはできなくなります。そのために私たちは、新しい電力会社とタイアップして拡販を推進していこうと考えています。また、自然エネルギー事業を多くの国民の方々に拡めることです。

 その1つがソーラーシェアリングです。
 農地に支柱を立てて太陽光パネルを設置します。耕作しながら発電も行います。農業をしながら電気を生む。これが一番採算性もあり、成功する可能性があるのです。

 もし日本のすべての農地に設置すると、原発700基分の発電力になります。1割の農地でも70基分です。

広瀬 農地の上にソーラーパネルをつけると、日よけをつけたことになり、収量は下がりませんか?

吉原 実際やってみると、なんと逆に増産になりました。
 農林水産省から、日よけをつけても、「80%程度の出来高が設置の条件」と言われていましたが、実際には120~150%の作物ができました。

 植物は一定の光飽和点を超えると光合成を止めてしまいます。また、太陽熱から身を守るために水分を蒸散して自らを冷却します。

 その結果、光合成に使う水がなくなり、夏場はある程度日よけをかけたほうが植物はよく育ち、農家にとっては食料増産につながる。しかも売電収入で現金収入が10倍になります。こんなうまい話はありません。

広瀬 設置コストはどのくらいかかりますか?

吉原 ソーラーパネルを設置する際の最大のコストは整地費用です。したがって、山を削ったり、コンクリートを打ったりすると大変です。
 しかし、ソーラーシェアリングの場合、もともと整地されている農地の上に設置します。農地の上に立てる支柱、その上に載せる太陽光パネルも、キットを買えば自分で簡単に作れます。コンクリートも使いません。ですからコストは極めて安いのです。

 まして農家は毎日農地を見ていますから、そのときにソーラーパネルの角度調整や、ちょっとしたメンテナンスはできます。

 これを推進することで農家の力がアップします。若い人たちが後継者として帰ってくる。地域の活性化、耕作放棄地の復活、TPP対策にもなります。そして、個々の農家が売電するのですから、原発は農家の邪魔になります。
 結果として、原発反対の大きな力となると思うのです。

新電力自由化は
すごいビジネスチャンス!

吉原 一般家庭では、積水ハウスなど、エネルギーゼロ住宅がいっぱい出てきています。世田谷、川崎では水素スマートシティ構想があります。

 トヨタやホンダの開発した水素自動車は、生産が追いつかず、大人気です。
 水素が主役になれば、太陽光や風力も水素に転換して保存流通できるので、自然エネルギー100%でも安定的な電力提供ができる。

「ブルータワー」といって、森林バイオマスから水素をつくるプラントもすでに稼働しています。水素から都市ガスもつくれます。ドイツでは自然エネルギー比率を2050年に80%まで引き上げる構想もあります。

 ただちに原発をやめれば、いろいろなビジネスがどんどん生まれてきて、すごいビジネスチャンスだと思います。

広瀬 東京・品川のマンションでも、電気とお湯を生み出す全戸エネファーム(燃料電池)つきのタイプが売り出されていますから、電力会社離れが進んでいます。

 電力会社への依存度が下がれば、自然と原発ゼロに向かって社会は動くでしょう。吉原さんは、中小企業の方と手を組んで、色々なイベントもしてきましたから、このエネルギー革命を実現できますね。

吉原 どうせ生きていくのであれば、子どもたちの未来につながる生き方をしていきたいというのは自然の感情です。そういうものを大切にしていきたい。
一部の人が利権で主導するのではなく、みんなが健全だと思う社会を底辺からつくっていきたいです。

 大企業の経営者、ビジネスマンの方々に言いたいのは、あなた方は、子どもたちに誇れるような立派な仕事をしたくありませんか、ということです。
 東芝でも日立でも、テレビのCMで「自然エネルギーで環境をよくしている企業」というPRをしていますが、「原発を推進している」ことはPRしていません。

 それほど「原発は後ろめたい事業」なのでしょう。それなら会社の方針を転換して、原発から撤退し、自分たちが誇りを持てる企業、子どもたちが笑顔で暮らせる未来をつくる企業、そして日本を代表する立派な企業になってください。

広瀬 吉原さんの主張は、金融の元締めで、なおかつ実績をあげてきたから、とても説得力があります。あとひと息です。百万の味方を得た気分です。原発ゼロで日本経済を再生しましょう!

吉原 11月4日(水)には城南信用金庫本店で、細川護煕さんがやっている自然エネルギー推進会議と共催で、小泉元総理、香山リカさん、ロバート・キャンベルさん、河合弘之弁護士と、自然エネルギーシンポジウムを行い、大変盛り上がりました。

 お客様である中小企業の方々による自然エネルギー事業の事例発表と『日本と原発』の映画上映。そういう形で、あちこちで活動を展開して、気焔をあげていこうと思います。みなで一緒に、世の中を変えてゆきましょう。

(おわり)

<著者プロフィール>
広瀬 隆(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『日本のゆくえ アジアのゆくえ』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。

吉原 毅(Tsuyoshi Yoshiwara)
1955年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、城南信用金庫に入職。1996年、41歳で常務理事となり、2010年、理事長に就任。ともに助け合う協同組織である信用金庫の原点回帰を打ち出し、理事長の年収を支店長の平均以下である1200万円、全役員の定年60歳、現場による経営計画の策定など、異色の改革を行っている。2011年4月1日には「原発に頼らない安心できる社会へ」を発表。職員による被災地支援も続けている。著書に『原発ゼロで日本経済は再生する』(KADOKAWA)『信用金庫の力――人をつなぐ、守る』(岩波書店)、『城南信用金庫の「脱原発」宣言』(クレヨンハウス)がある。

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2015年11月22日 15:00

武力によりもたらされるのは、果てしなく連鎖増幅していく哀しみと憎しみだけ、、、テロなどとは先進国連合側の一方的な論理、もとより戦争なのです。。。Vol.2

■パリ同時多発テロの根底にある100年の歴史

高橋洋一 [嘉悦大学教授]

終わらぬ根深い憎しみの連鎖
発端は第一次世界大戦

 今月13日、パリで130名近くもの死者を出すテロが起こった。直後に「イスラム国」から犯行声明が出され、フランス空軍による報復爆撃が行われたというニュースも流れている。

 ちなみにテロが起こった11月13日は、1918年、英仏軍がオスマン帝国のイスタンブールを制圧した日である。つまり聖戦を掲げるイスラム国にとっては、キリスト教徒にイスラム教徒が侵略された恥辱の日であり、復讐にふさわしい日と見ることもできる。

 首謀者にはヨーロッパ国籍をもつイスラム国シンパも含まれているといい、戦争の歴史が作り出してしまったヨーロッパ移民社会の複雑さ、暗部をも垣間見るようである。

 根深い憎しみの連鎖は、まだまだ終わりそうもない。卑劣きわまりないテロの犠牲者に対しては、哀悼の念を強くするばかりである。

 ただ地政学的に見れば、1916年のサイクス=ピコ協定でわかるように、ヨーロッパ諸国がアラブ世界を民族無視で勝手に分割したこと、さらにその後、しっかりコントロールしきれなかったことが、さまざまな形をとって現在にまで及んでいる。例えば、アメリカがイラク民主化のためにフセイン政権を倒したが、その残党が「イスラム国」を作った。このたびのパリのテロもまた、それらがもたらした大きな悲劇の一つであると見るべきだろう。

 こうした現代の難問を理解するには、高校レベルの世界史をおさらいしておくといい。

 発端は第一次世界大戦である。

中東問題の大元を作った
イギリスの「三枚舌外交」

 第一次世界大戦後にドイツの力が弱まり、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国、ロシア帝国が崩壊したことで、バルカン半島から東欧にかけての地域には小さな独立国家が乱立した。

 ドイツの同盟国として参戦したオスマン帝国の解体では、現代にまで続く中東問題が芽生えてしまった。それを説明するには、第一次世界大戦中のイギリスの多重外交にまで遡らなくてはならない。

 1915年、イギリスはフサイン・マクマホン協定によって、オスマン帝国からの独立をアラブ人たちに約束した。

「オスマン帝国との戦いに貢献し、勝利した暁には自分たちの領土を持てる」とアラブ人たちに思わせることで、イギリス陣営への協力を取り付けたわけである。

 しかし、これが虚構であったことは、その直後にイギリスがフランス、ロシアと結んだ協定を見れば明らかだ。

 1916年、オスマン帝国領アジアをイギリス、フランス、ロシアとで分割、パレスチナは国際管理下に置くというサイクス=ピコ協定が結ぼれる。下図で、青がフランス、赤がイギリス、緑がロシアである。

img_c2c0955583a95b6a673adbc200329ece88060.jpg

 これは、オスマン帝国の支配下にあるアラブ人が独立できるという、フセイン=マクマホン協定と明確に食い違っている。しかも、定規で引いたような人為的な国境線が後で火種になる。

 さらに1917年には、イギリスは、パルフォア宣言によってユダヤ人がパレスチナに独立国家を築くことを認めた。アラブ人にしたように、「独立国家を持てる」と約束することで、ユダヤ人からの協力も得ようとしたのだ。

 このようにイギリスは、戦争を有利に進めるために、それぞれの利害関係者に異なる言質を与える「三枚舌外交」を行った。そして、今日にまで続く中東問題の大元を作ってしまったのである。

統治国の勝手が生み出した
クルド人問題とパレスチナ問題

 ちなみに、サイクス=ピコ協定でオスマン帝国の分割案に参加していたロシアは、戦中にロシア革命が起こったため、単独でドイツと講和条約を締結していた。

 ロシアはバルカン半島で勢力拡大し、オスマン帝国までも分割統治することで黒海方面への南下を狙っていたが、その野心は、自国内の革命という足元から崩れることになったのである。

 ロシアが途中で戦線離脱したことで、オスマン帝国はイギリスとフランスの決定によって分割統治されることになった。

 そこで生じた中東問題の一つは、クルド人問題だ。イギリスとフランスが勝手にそれぞれの委任統治領を決めたせいで、クルド人の地域は、トルコと、イギリス、フランスの勢力下にあるイラクとシリア、イランなどに分断されてしまった。

 実は、最初に結ぼれたセーブル条約ではクルド人の独立国家の建国が認められていた。ところが、トルコ共和国の領土回復が認められたローザンヌ条約で、取り消されてしまったのだ。

 自分たちの国を持たないクルド人は、各国では少数派だが、全体を合わせれば約3000万人にもなると推定されている。彼らの独立問題は、第一次世界大戦以降、今も中東における最大懸念の一つとなっている。

 第一次世界大戦が元となった中東問題は、パレスチナ問題だ。現在のヨルダンを含むパレスチナは、第一次世界大戦後、イギリスの委任統治領となり、パルフォア宣言に基づいてユダヤ人たちはパレスチナに向かった。といっても、この当時は、もともとパレスチナに住んでいたアラブ人と移植してきたユダヤ人は、比較的穏やかに共存していたとされる。とごろが、ユダヤ人入植者が増えるにつれて、次第に土地争いなどが起こりはじめ、バレスチナ人との対立が強くなっていく。

 それを、統治国であるイギリスはコントロールしきれなかった。困り果てた末、第二次世界大戦後に責任放棄して国連に丸投げにしたために、パレスチナ問題はますます混迷を極め、いまだ解決されていない。

テロは決して認められない
だが100年間の歴史も知っておこう

 ひとくちにイスラム教徒といっても、内側は非常に複雑である。彼らの帰属意識は国よりも部族に対してのほうが強く、しかも、先に挙げたクルド人に代表されるように、国境と部族が必ずしも一致していない。

 さらに、イスラム教にはスンニ派とシーア派という二大宗派があり、多数派のスンニ派と少数派のシーア派が対立を続けているという長い歴史がある。この宗派とは別に、トルコ主義、アラブ民族主義、ペルシャ主義といった、少しずつ異なる民族意識もある。

 宗派や民族意識が異なっても、最大概念であるイスラム共同体「ウンマ」への帰属意識は共有している。しかし、イラン・イラク戦争のように、同じイスラム教国同士で起こった戦争には、スンニ派とシーア派の歴史的対立が絡んでいる場合もある。

 こうした背景をいっさい斟酌しようともせず、戦勝国が勝手に勢力図を決め、分け合ってしまったのが、第一次世界大戦の一つの結果だった。アラブ世界の人々は、宗教心や帰属意識もろとも、列強の手前勝手な領土欲に振り回されたのである。

 現在では中東は、かつてのバルカン半島をしのぐといってもいいほどリスクの高い「火薬庫」となってしまった。目下、最大の懸案は、やはりイスラム過激派組織「イスラム国」の台頭である。「イスラム国」は、サイクス=ピコ協定の終焉を目指している。

 ヨーロッパでは、今回のパリのテロ以外にも、これまでにロンドンやマドリードで一般市民をターゲットにしたイスラム過激派によるテロが起こっている。また言うまでもなく、それ以上の数、規模のテロが、中東の国々では今や日常茶飯事となっている。

 この問題は簡単に解決しない。以上で見たように、100年前の話が発端になっていて、100年間も解決されなかったからだ。

 テロはいかなる理由があっても認められない。ただ、この100年間の歴史も同時に頭に入れておこう。

[DIAMOND online]


■パリ同時多発テロが起きるほどに IS膨張を許した戦犯は誰か?

北野幸伯 [国際関係アナリスト]

11月13日、世界は「9.11」以来の衝撃に襲われた。パリで「同時多発テロ」が起こり、129人が犠牲になったからだ。イスラム国(IS)による犯行と見られるこの事件によって、世界はどう変わっていくのだろうか?

突如現れて広大な地域を占領したIS
米国は過去に彼らを支援していた

 今回のテロについて、フランスのオランド大統領は、即座にISの犯行と断定。そして、IS自身、「犯行声明」を出している。

 2014年に「どこからともなく」現れ、いきなりイラクとシリアにまたがる広大な地域を占領したIS。日本人には、「唐突に」登場したように見える。

 しかし、ある集団が強い勢力を持つには、「金」と「武器」が必要だ。彼らは、どこでそれらを得たのだろうか?まず、ここから話をはじめよう。

 以下は、AFP-時事2013年9月21日付からの引用。「シリアの反体制派同士が、ケンカし、戦闘になったが和解した」という内容である(太線筆者、以下同じ)。

<シリア北部の町占拠、反体制派とアルカイダ系勢力 対立の背景
トルコとの国境沿いにあるシリア北部アレッポ(Aleppo)県の町、アザズ(Azaz)で18日に戦闘になったシリア反体制派「自由シリア軍(Free Syrian Army、FSA)」と国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系武装勢力「イラク・レバントのイスラム国(ISlamic?State of Iraq and the Levant、ISIS)」が停戦に合意したと、イギリスを拠点とするNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatoryfor Human Rights)」が20日、明らかにした。>([AFP=時事])

 短いが、ISに関する「2つの重要な事実」(知らない人にとっては衝撃的な)を含んでいる。まず、ISは、13年9月時点で「アルカイダ系」であった。(その後、アルカイダから独立)。2つ目は、この時点で、ISはシリアのアサド政権と戦う「反体制派」(=反アサド派)に属していた。

 これがなぜ「衝撃的」なのか?「アルカイダ」については、説明する必要もないだろう。米国で01年9月11日「同時多発テロ」を起こしたとされるテロ組織だ。「米国最大の敵」とされた。ISは「アルカイダ系」なので、「米国の敵」なのはわかる。しかし…。11年にシリアで内戦が起こった時、米国はアサド現政権ではなく、「反アサド派」を支援した。その時のことを思い出していただきたい。

 米国は、「悪の独裁者アサド」「民主主義を求める善の反アサド派」という構図を、全世界で宣伝した。ところが、その「善の反アサド派」の中に、「アルカイダ系」の「IS」も入っていたのだ。つまり米国政府は、「最大の敵であるはずのアルカイダ系ISを含む勢力を、『善』と偽って支援していた」ことになる。

ISを含む「反アサド派」に
6000億円もの支援をしたのは誰か?

 もう少し詳しく、ISのルーツを見てみよう。ベストセラー「イスラーム国の衝撃」(池内恵著)にISの組織と名称の変遷が記されている(65~68p)。

 1999~2004年10月:「タウヒードとジハード団」
 2004年10月~2006年1月:「イラクのアルカイダ」
 (この時点では、はっきり「アルカイダ」を名乗っている)
 2006年1月~10月:「イラク・ムジャーヒディーン諮問評議会」
 2006年4月~2013年4月、:「イラク・イスラム国」
 (ここで、「イスラム国」という名に変わった)
 2013年4月~2014年6月、:「イラクとシャームのイスラム国」
 2014年6月~、:「イスラム国」 

 次に、ISが急速に勢力を拡大できた理由を見てみよう。既述のように11年、シリアで内戦がはじまった。ロシアとイランは、アサド現政権を支持、支援した。

 一方、欧米は「反アサド派」を支援した。さらに、トルコ、サウジアラビア、ヨルダン、エジプト、アラブ首長国連邦、カタールも「反アサド派」を支持、支援した。これらは「スンニ派」の国々である。アサドは「シーア派」の一派である「アラフィー派」。彼らは、アサドを政権から追放して「スンニ派政権」 をつくりたいのだ。

 ところで、一言で「反アサド派」といっても、さまざまな勢力がある。そこで12年11月、「反アサド諸勢力」を統括する組織として、「シリア国民連合」がつくられた。著名なアラブ人ジャーナリスト・アトワーン氏の著書「イスラーム国」には「どの国が、反アサドを支援したのか」に関して、こんな記述がある。

<サウディアラビアとカタールが革命勢力に資金、武器支援を行った。『ニューヨーク・タイムス』は、二○一二年一月、カタールが武器を貨物機に載せてトルコに運び、革命勢力に供与していたと報じた。サウディアラビアも軍用機でミサイルや迫撃砲、機関銃、自動小銃をヨルダン、トルコに運び、シリア国内に送り込んでいた。
非公式の情報に基づけば、サウディアラビアは五○億USドル(約六一五○億円)を、武器支援などのシリア反体制派支援に費やしたという。>(203~204p)

 アトワーン氏は「非公式の情報」と断っているが、6000億円以上の金、武器が「反アサド派」に提供され、その一部が(反アサド派にいた)ISに流れたとすれば、彼らが突然「勃興した理由」もわかる。

 ここまでで分かるように「シリア内戦」は欧米vsロシア、そして、スンニ派諸国vsシーア派の「代理戦争」と化した。そして、欧米や、サウジアラビアなどスンニ派諸国からの支援こそが、ISを短期間で一大勢力に成長させたのだ。

 ちなみにオバマは13年8月、「アサド軍が化学兵器を使った」ことを理由に、「シリアを攻撃する」と宣言。しかし翌月には、「やはり攻撃はやめた」と戦争を「ドタキャン」して世界を驚かせた。この頃からISは「反アサド派」や「アルカイダ」の枠を超え、独自の動きをするようになっていく(アルカイダは14年2月、ISに「絶縁宣言」をした)。

やる気のない欧米の空爆を尻目に勢力を拡大
プーチンの本気の攻撃でピンチに

 独自勢力になったISは、次々に支配地域を拡大し、さらなる金と武器を手にしていく。14年6月10日には、イラク第2の都市モスルを陥落させた。ここには大油田があり、ISは重要な「資金源」を得ることに成功する。同年6月29日、ISのリーダー、アブー・バクル・アル=バグダーディーは「カリフ宣言」を行った。つまり彼は「全イスラム教徒の最高指導者である」と宣言したのだ。

 ISの現在の資金や武器は、どうなっているのだろうか?前述の本「イスラーム国」によると、資金源は以下の通りである。

 ・ イラク中央銀行から、5億ドルを強奪した。
 ・石油販売で、1日200万ドルの収入を得ている。
 ・支配地域の住民約1000万人から税金を徴収している。

 武器については、

 ・イラクとシリア両国政府軍拠点を制圧し、米国製、ロシア製の武器を大量に奪った。
 ・2700を超える、戦車、装甲車、軍用車両を所有している。

 さて、米国は14年8月、「ISへの空爆を開始する」と発表した。同年9月には、今回テロが起こったフランスが空爆を開始。その後、「有志連合」の数は増えていった。しかし、米国を中心とする空爆は、あまり成果がなく、ISはその後も支配領域を拡大していった。

 米国を中心とする空爆に「やる気」が感じられないことについてロシアは、「ISを使ってアサド政権を倒したいからだ」と見ている。

 15年9月30日、状況を大きく変える出来事が起こる。ロシアが、シリア領内のIS空爆を開始したのだ。ロシアの動機は、親ロ・アサド政権を守ること。そのため空爆も「真剣」である。1ヵ月半の空爆の結果、シリアのISは大打撃を受け、アサド政権は息を吹き返した。

 アサド軍は現在、着実に失地を回復している。追いつめられたISのメンバーが、難民に紛れ込み、欧州に逃亡を図っている可能性は高い。こんな状況下で11月13日、「パリ同時多発テロ」が起こったのだ。

「パリ同時多発テロ」で
世界情勢はどう変わるか?

 次に、「パリ同時多発テロ」で「世界はどう変わるのか?」を考えてみよう。

<フランス>
 まず、テロが起こったフランスは、ISに復讐しなければならない。ここで空爆を止めれば、「テロに屈した」ことになるからだ。実際、テロ翌々日の11月15日、フランス軍は、ISが「首都」と称するシリア北部の都市ラッカを空爆した。これは、今までで最大規模の攻撃だった。また、フランスは、原子力空母「シャルル・ド・ゴール」をペルシャ湾に派遣し、4ヵ月間駐留させることを決めている。オランド大統領は、今回のテロを「戦争行為」と断じ、最後まで戦い抜く決意を示した。

<欧州全体>
 欧州全体を見ると、今後難民に対する姿勢が硬化するだろう。難民の中にISメンバーが多数含まれている可能性は高い。とすれば、欧州は、「便衣兵」(敵を欺くために私服を来ている兵士)を大量に受け入れていることになる。規制が強まるのは、やむをえない措置といえるだろう。

<ロシア> 
 不謹慎な言い方だが、事実として、「楽になる」のがロシアである。1年8ヵ月前、「クリミア併合」を決断したプーチンは、「ヒトラーの再来」「世界の孤児」と呼ばれていた。しかし、現在、「クリミア」「ウクライナ」のことを思い出す人は、ほとんどいない。それどころか、プーチンは、欧米にとって「対IS戦争の同志」になりつつある。

 ロシアが空爆をはじめた当初、欧米は、「『IS』ではなく、『反アサド派』を攻撃している」と批判した。ところが1ヵ月半の空爆で、実際にISは著しく弱体化している。オバマとプーチンは11月16日、G20が開かれていたトルコ・アンタルヤで会談。そこで、オバマは、ロシアの空爆に理解を示した。

<<米露首脳会談>「シリア和平必要」…露IS空爆に米が理解
米国のオバマ大統領とロシアのプーチン大統領が15日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開催中のトルコ・アンタルヤで会談し、シリア内戦の終結に向け、国連の仲介によるアサド政権と反体制派の交渉や停戦が必要だとの認識で一致した。? オバマ氏はロシア軍が9月末にシリアで始めた過激派組織「イスラム国」(IS)への空爆にも一定の理解を示した。>(毎日新聞11月16日(月)12時28分配信)

 さらに、オランド大統領は11月17日、米国だけでなく、「ロシアと協力して」「イスラム国」と戦う意志を明確にしている。

<仏米ロ、シリア北部のIS空爆 軍事的連携を強化へ
フランス、米国の空軍は17日、過激派組織「イスラム国」(IS)が首都と称するシリア北部ラッカを空爆した。
パリの同時多発テロ後、仏空軍による空爆は2度目。
これとは別に、ロシア空軍もラッカを空爆した。
仏ロ関係はウクライナ紛争で冷え込んだが、オランド仏大統領は16日の演説で、対ISで従来の米国に加えてロシアとの軍事的連携も強化すると述べた。>(朝日新聞デジタル11月18日(水)2時0分配信)

自称“国家”のISは消滅するが
テロは今後も続く

<米国>
 米国は、今までの「ダラダラ空爆」を改めざるを得なくなるだろう。このままロシア軍がISを征伐してしまえば、超大国の威信は失墜する。これから米国は、「有志連合軍」を率い、真剣にISと戦うことになる。

 ちなみに、「反IS」で欧米ロが一体化することは、米国に「もっと大きな利益」をもたらすことになる。現在、米国最大の問題は、「中国の影響力が米国に迫っていること」である。実際、57もの国々が、中国主導「AIIB」への参加を決めた。その中には、英国、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国など、「親米国家群」も含まれる(彼らは、米国の制止を無視して参加を決めた)。

 特に、伝統的に「親米」だった欧州が、「米中の間で揺れていること」は、非常に問題だ。米国は、ISとの戦いを主導することで、欧州との関係「再構築」をはかるだろう。そして、「中国と対抗するためにロシアと和解する」のは、筆者が4月28日の記事で予想したとおりである(記事はこちら)。つまり、「パリ同時多発テロ」がなくても、両国は和解に向かっただろう。しかし、テロはそのプロセスを速めた。

<IS>
 では、「パリ同時多発テロ」を起こしたとされるISはどうなるのだろうか?欧米ロが一体となって、全力をあげて攻撃をしかけるのだから、どう考えても勝ち目はない。結局彼らは、支配地域を失い、欧州、ロシア、旧ソ連諸国などに散らばっていくだろう。支配地域を持たない古巣のアルカイダ同様、世界のさまざまな地域でテロ行為を続ける。

 ISという、自称“国家”は消滅するが、そのメンバーは、これからも世界各地でテロを行い、民衆を恐怖させるだろう。

[DIAMOND online]


■「誤爆もテロ」「安保法制で日本が標的」 現実離れなテレビ報道も

パリ同時多発テロ

 テレビ各局は連日、パリ同時多発テロを時間を割いて報じている。テロの背景や難民問題、テロ対策に焦点を当てた番組が目立つ一方、コメンテーターがテロ組織との対話を呼び掛けたり、安保法制と結びつけて日本への影響を不安視したりと、現実離れした意見を紹介する番組も出ている。

 テレビ朝日系「報道ステーション」は連日、テロをめぐる動きを伝えつつ、各国のイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」掃討作戦による誤爆の問題も取り上げた。

 古舘伊知郎キャスターは16日、「許すまじきテロ。一方、有志連合の誤爆で無辜(むこ)の民が殺される。これも反対側から見ればテロだ」と、空爆の効果を疑問視。17日には、自民党が共謀罪新設に向けた検討を始めたことに、古舘氏が「疑わしきはしょっぴくことへの懸念を感じる」と述べた。

 一方、15日のTBS系「サンデーモーニング」では、国際社会の対応を疑問視したり、テロ組織との対話の必要性を訴えたりするコメンテーターが相次いだ。フォトジャーナリストの安田菜津紀氏は「(難民問題の)責任がイスラム国を生んだ国々にあり、日本も例外ではないとの声を耳にした」と発言。法政大総長の田中優子氏は「(国際社会はテロ組織と)対話を進めるための努力はしているのか」と疑問を呈した。

 田中氏はまた、「安保法制成立後、日本が(テロの)標的になっているということをとどめておかねばならない」と主張。ただ、イスラム国が日本人2人を殺害し、日本もテロの標的と表明した今年初め、安保法制は成立していない。

 このほか、日本総合研究所理事長の寺島実郎氏が「宗教的な寛容さが日本の文化だ」と語り、日本独自の立ち位置を探るべきだと訴える場面もあった。

[産経新聞]

Posted by nob : 2015年11月21日 11:56

(既得権層に)不都合な真実が自ずと伝えられることはない。。。Vol.4

■東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

広瀬隆 [ノンフィクション作家]

再稼働、安保、TPP……
安倍“駐日アメリカ大使”の本当の罪
――吉原毅×広瀬隆対談【パート4】

銀行は「営利法人」、
信用金庫は「非営利法人」

広瀬 僕は吉原さんに出会う前は、信用金庫という存在を深く考えたことがありませんでした。
 つまり、協同組合組織で、互いに助け合うための金融機関だとは。

吉原 信用金庫は、地域を守って、地域の人を幸せにすることを目的とした社会貢献企業です。
 信用金庫は、銀行と同じ金融機関の一業態、銀行の小型版だと考える人が少なくありませんが、そうではありません。

 銀行が利益追求を目的とした株式会社であるのに対し、信用金庫は、株式会社に対抗し、お金の弊害を是正するために生まれた、会員出資による協同組合組織の「非営利法人」なのです。

 もともと1900年に欧州から日本に伝えられた、社会改革を目的とした協同組合運動の金融部門であり、生活協同組合や農業協同組合の仲間なのです。

広瀬 原発には巨額の金が絡んでいるから、原発廃絶運動は銀行にはできませんが、独立した信用金庫にはできますね。吉原さんは哲学者ですよ。

吉原 そもそもは、小原鐵五郎(おばら・てつごろう、1899~1989)が城南信金の第3代理事長で全国信用金庫協会長を長年務め、「金融界のご意見番」と言われた人ですが、信用金庫業界が存亡の危機に立たされたとき、彼が大蔵省の役人にこんな発言をしています。

「富士山の秀麗な姿には誰しも目を奪われるが、白雪に覆われた気高い頂は大きく裾野を引いた稜線があってこそそびえる。
 日本の経済もそれと同じで、大企業を富士の頂としたら、それを支える中小企業の広大な裾野があってこそ成り立つ。その大切な中小企業を支援するのが信用金庫であり、その役割は大きく、使命は重い」

広瀬 「裾野を引いた稜線があってこそそびえる」という表現はすばらしいですね。

吉原 はい。私自身が当時80歳を超えた小原さんのそばで働いていた頃、利益の出るアイデアを出すと「冗談じゃない」と一括され、消費者向けローン企画をボツにされました。そのとき、こう言われたのです。

「私たちはいつから銀行に成り下がったのですか。
 銀行は利益を目的とした企業だが、私たちは町役場の一角で生まれた、世のため、人のために尽くす社会貢献企業なのです。もともとはイギリスのマンチェスターに起源を持つ、公共的な使命を持った金融機関なのです。そのことを絶対に忘れてはいけませんよ」

 お金は人の心を狂わせ、暴走させ、良識的な判断を失わせる麻薬です。お金の魔力にとりつかれると、社会や仲間のこと、先祖や子孫のことなど気にかけず、「自分さえよければ」「今さえよければ」という発想に陥りがちです。それが、フクシマ原発事故で多くの人を苦しめる発端になった原因です。

 原発が「不良債権」であると知りながら、目先の利益を求めて間違ったことをやり続け、将来に大きなツケを残す判断をしている人たちは、まさにお金の魔力にとりつかれていると言っていいでしょう。しかも誤った経済学のもとで。

広瀬 「カジノ資本主義」と同じ構造ですが、私は原発だけでなく、ドシロウトの安倍晋三の経済政策がとてもコワイです。

 全世界に徘徊するヘッジファンドや、タックスヘイブンに隠されてきた巨大なマネーの動きを知らずに、デタラメの出費を続けていますからね。あの男に任せておくと、もうじき、またしても日本はごっそり金を盗まれますよ。

吉原 まさにそうなんです。戦後日本がものづくり大国になってアメリカを圧倒すると、1980年代以降、アメリカは金融、情報、軍事力による「カジノ資本主義戦略」へ転換しました。

 それが金融自由化です。日本人が溜め込んだお金を使って、世界中にデリバティブ商品による賭場を開き、世界中でバブルを起こして大儲けしました。
 しかし、2008年には自分たちまで「毒まんじゅう」を食べて腹下しを起こした。それが「リーマン・ショック」です。

“駐日アメリカ大使”が
首相をやっている!

広瀬 そして真犯人は、売り逃げして隠れてしまいました。莫大な金を持ってね。再びその金が動き出すとコワイですよ。
 私は11月に郵政三社が上場されるのが心配です。上場すれば、ウォール街のハゲタカファンドが入ってくるでしょう。そして、投資先を彼らが支配して、ウォール街がその大金をつかむ。郵便貯金と簡易保険の金は、莫大な額ですからね。そのうえ、今度は年金をジャンクボンドに投資しようっていうんだから、国民の金が盗まれっぱなしです。

吉原 それは十分考えられます。それで政府に多少お金が入るにしても、買った株主が郵政をどう変えてしまうのか怖いところです。
 金融は暴走を何度も何度も繰り返してきた歴史があります。特に、資本主義経済は産業革命以降に暴走し、「自分さえよければ」という発想を世の中に広める麻薬みたいなものです。

 それをやめて自分で生産し、自分で経営し、自分で消費する。お金による分業ではなく、全体像を見る。これが全体を取り戻し、人間性を回復するという協同組合運動の本質です。

 信用金庫はそういうことをやっている金融機関なので、協同組合運動の一環として、原発に反対するのは当たり前のことです。
 現在の経済は、本物の経済ではありません。地に足をつけて、社会の健全な発展、人々の幸せにつながる健全な付加価値が増えていくことが、本当の意味での経済成長です。
 中小企業も、その哲学で動いています。現代社会はマーケットが発達しすぎて、それとともに自己中心主義が発達して、どんどん人格が崩壊していっています。そういう意味では、みんな奴隷化しているともいえます。

広瀬 日本は完全にアメリカの奴隷になっています。
 1970年代の日米繊維交渉では、首相の佐藤栄作がきちんとアメリカとケンカしました。歴史を調べてみると、日本のバカな政治家たちも、アメリカとちゃんとケンカしていました。

 でも、今は、安倍晋三みたいな「駐日アメリカ大使」が総理大臣をやっている。これでは国民は救われません。
 原発も集団的自衛権もTPPも全部、アメリカの富豪の言いなりですから。 19世紀に跋扈したフランスのサン・シモン主義は、「資本家が文明をリードしてゆくことによって、社会全体の富が増え、貧者もまた救われてゆく」という理論でした。
 サン・シモン伯爵が唱えたこの説が横行した結果、19世紀以来、全世界で労働者に対する資本家の搾取が著しく横行するようになりました。
 今まさに安倍晋三が唱えてきた経済活性化政策は、それです。

「大企業中心の経済成長が、日本全体の経済を発展させる」という、実に古くさい、19世紀の回顧主義にすぎないもので、よくもこんな古い経済思想を取り出してきたものだと驚きますが、日本の経済学者は誰も批判していない。
 サン・シモン主義が、ますます貧富の差を拡大することは、数々の歴史が実証してきた通りで、現在の日本で、労働者の格差が急激に広がっているのは、そのためです。

 喜ぶのは、経団連(日本経済団体連合会)に所属して、社内留保を増やせる上部の大手企業幹部だけですよ。

自由化、規制緩和の先は、
デフレ、戦争へという末路

吉原 そうですね。それに経団連といっても彼らは大企業を代表していません。それと安倍政権は、選挙のときは「経済第一」「TPPは反対」と言っておきながら、権力を握ると急に安全保障の話を持ち出し、TPPはアメリカの言い分を丸呑みにしてしまいました。TPPというのは日本では自由化、規制緩和だと考えられています。

 でも、TPPの真相は、日本は自由化や規制緩和をさせられ、アメリカにとっては保護主義です。他国から利権を収奪するための保護主義政策なのです。

広瀬 そうです。あのルールを1つずつ見れば、アメリカに都合のいいルールだけを取り込んで、黒幕の多国籍企業が利益を得る、それがTPPです。

吉原 そもそも自由化、規制緩和をやっても顚末は見えています。竹中平蔵さんが講演で力を込めて「0.1%でも高い経済成長が大事だ。だから規制緩和が大事だ」と言っていました。

 私も経済成長を決して否定しているわけではありませんが、「だから規制緩和が大事」という竹中さんの論には飛躍があると思います。

 歴史を見ると、今から100年ほど前にイギリス帝国による第1次グローバリゼーションがありました。経済がグローバル化して世界中でものが動いた結果、イギリスをはじめとする先進国まで生産過剰になって、世界的な恐慌や大デフレにつながり、第一次大戦、第二次大戦という戦争を引き起こしました。

 今の第2次グローバリゼーションも同じです。
 1970年代までは経済成長してきましたが、規制緩和を行ったために世界経済は1990年代から失速しました。韓国は経済破綻しましたし、中南米諸国の経済成長は止まりました。そして湾岸戦争が起きました。
 自由化、規制緩和が、実は世界中にデフレと大不況をもたらして、戦争によって終わるという帰結です。歴史は繰り返しているのです。

広瀬 湾岸戦争は、米ソの冷戦が終って、軍需産業の崩壊も原因でした。
 私は吉原さんが登場してはじめて信用金庫が何かを知って城南に口座を開いたのですが、「原発反対」を高らかに宣言した後、城南信用金庫の預金者が増えていますか?

吉原 はい、増えました。心ある人たちがファンになっていただいています。
お金がある人も、ない人もファンになっていただいています。それは、どちらもありがたいと思います。

 私は多くの人に応援していただいていることを業界でも話しています。
 それによって、ほかの地方の信用金庫にも、協同組合の理念をもっと大事にしてもらいたいと思っています。

広瀬 そうですね。

 次回がいよいよ最終回です。なぜ、3人の元首相が「脱原発」に転向したかと、いよいよ2016年4月1日に迫った電力自由化で広がる知られざる世界についてお話ししましょう。

(つづく)

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2015年11月17日 17:10

武力によりもたらされるのは、果てしなく連鎖増幅していく哀しみと憎しみだけ、、、テロなどとは先進国連合側の一方的な論理、もとより戦争なのです。。。

■「イスラム国」壊滅戦略を続行=地上部隊派遣は否定−米大統領

 【アンタルヤ(トルコ)時事】オバマ米大統領は16日、トルコで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議の閉幕後に記者会見し、パリ同時テロの発生を踏まえ、過激派組織「イスラム国」に対する壊滅戦略を続けると明言した。また、米地上部隊をシリアに派遣する考えはないと改めて強調した。

 オバマ氏は、「イスラム国」への空爆作戦と併せ、シリア内戦を外交解決する取り組みやテロ組織の人・金の流れを遮断することなどを含む現在の戦略は「機能している」と力説。「私の関心は米国人の安全を守ることだ」と述べた。

 「イスラム国」のテロ実行力については「彼らの潜在力は十分に認識していた」と説明した。ただ、13日に起きたパリ同時テロに関する脅威情報は事前に伝えられていなかったという。

 オバマ氏はこれに先立ち、英仏独伊の首脳らと5カ国会談を開催。首脳らは対「イスラム国」戦を強化することを申し合わせ、米ロなどが主導するシリア内戦の外交解決を目指す動きを「全面的に支援する」と表明した。

 また、米仏両政府は16日、テロや軍事作戦に関する情報の共有を加速することで合意。米国のカーター国防長官とクラッパー国家情報長官は、既存の法律の枠内で最大限フランスと協力するため、新たな指示を出した。空爆の標的情報を共有する手続きの迅速化などが柱となる。

[時事ドットコム]


■「フランスは戦争をしている」 ISと全面対決へ

パリ=神田大介、渡辺淳基
パリ=青田秀樹、梅原季哉
ワシントン=佐藤武嗣
カイロ=翁長忠雄

 パリ同時多発テロについて、仏政府は、過激派組織「イスラム国」(IS)がシリアで計画を立て、戦闘員に実行させたとの見方を固め、全面対決を決めた。仏捜査当局は国内各地で捜索を実施し、次々と身柄を拘束。シリアのIS拠点を空爆し、軍事介入を強める姿勢も鮮明にした。米国主導のIS封じ込めは新たな段階に入った。

■国際テロへ、ISが戦術転換か

 バルス仏首相の発言や、フランスやベルギーの捜査からは、今回のテロ事件をISが組織的に計画し、自ら指揮した疑いが強まっている。

 仏警察は13日夜のテロ事件発生直後から警戒態勢を敷き、15日夜から16日にかけて、イスラム過激派の拠点を一斉に捜索。168カ所で23人を拘束し、AK47など自動小銃4丁、ライフル銃8丁、短銃19丁、防弾チョッキなどを押収した。殺傷能力の高いロケット砲も見つかった。

 1月の仏週刊新聞シャルリー・エブド襲撃事件や、その後に欧州で起きたテロ事件は、いずれも「一匹おおかみ」型犯行の性格が色濃い。実行犯は単独か2人のケースが大半で、ISと直接の関係があるという形跡はなかった。

 ISがテロの戦術を変えた背景には、「支配地」での劣勢を外国でのテロで取り戻そうとする意図が垣間見える。

[朝日新聞デジタル]


■米へのテロ予告、「イスラム国」がビデオ声明

 【カイロ=溝田拓士】イスラム過激派組織「イスラム国」は16日、インターネット上にビデオ声明を公開し、「フランスの中心部にあるパリを攻撃したように、米国の中心部にあるワシントンを攻撃する」と述べて、米国へのテロ攻撃を予告した。

 シリア、イラクで「イスラム国」空爆を続ける国々への攻撃にも言及した。

[読売新聞]

Posted by nob : 2015年11月17日 10:00

(既得権層に)不都合な真実が自ずと伝えられることはない。。。Vol.3

■東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

広瀬隆 [ノンフィクション作家]

原発とは、国家ぐるみの
壮大な「粉飾決算」である。
――吉原毅×広瀬隆対談【パート3】

原発が止まって、経済がよくなった!?

吉原 原発問題はイデオロギー問題ではありません。きわめて科学技術的な話であり、経済的な問題です。

 原発推進派の政治家、財界人、学者は口をそろえて「原発を止めると日本経済は大変なことになる」と言いますが、実際、原発が止まっても大変な事態など起こらなかったじゃないですか。今の日本を見てごらんなさい。

広瀬 原発を止めて、経営が大変なことになるのは電力会社であって、日本経済そのものは、むしろはるかによくなっています。

吉原 そうなんです。東京証券取引所の日経平均株価を見ると、原発が止まった間、株価は上昇しています。
 東日本大震災後の最安値は2011年11月25日につけた8160円1銭ですが、2013年の最後の取引である大納会における終値は、1万6291円31銭とほぼ倍増しています。

 2012年の大納会の終値が1万395円18銭でしたから、2013年だけで56.7%上昇したことになります。

経済オンチの安倍晋三

広瀬 それなのに安倍晋三は、「原発ゼロのために国富が流出した」などと主張し、経済が悪くなるというウソのプロパガンダを繰り返している。

吉原 安倍首相は2013年10月24日に放送されたテレビ朝日系の「スーパーJチャンネル」で、「1年間で4兆円近い国の富が海外に出ていっている。ずっと続いていくと大変だ」と発言しましたが、これは経済学の基本を知らない発言です。

 国内の原発が止まって火力発電にシフトし、海外から購入する化石燃料が急激に増えたがゆえに日本の円安が進み、輸出産業を後押しする状況が整ったことになります。
 国際貿易というのは、売っただけではダメで、買って初めて成り立つということを安倍首相は理解していません。

広瀬 なるほど。それは面白い見方ですね。経済のことをまったく知らない安倍晋三が、経済の舵取りをしていることが問題ですね。

吉原 2011年度、貿易収支が約2兆5000億円と31年ぶりに赤字に転じました。貿易赤字額はその後も増え続け、2012年度は約6兆9000億円、2013年は過去最大の11兆4745億円でした。でも、これ自体は悪いことではないのですよ。

 日本はこれまで長年にわたって貿易黒字、経常収支を続けてきました。
 その結果、為替はどんどん円高になり、産業は空洞化し、失業が増え、デフレ不況が深刻化していきました。つまり、20年以上にわたるデフレ不況の原因は、貿易黒字と経常収支黒字を続けてきたことにあります。

 原発停止によって貿易赤字に転換したことで、為替が円安になり、デフレ不況が解消しつつあります。貿易赤字、経常収支の赤字は、経済学的にはまったく問題ないのです。

 まさに「原発即時ゼロで日本経済は再生する」のです。これは私の師匠で、初代日本経済政策学会会長、歴代総理のブレーンとして活躍し、政府税調会長だった加藤寛慶應義塾大学名誉教授の最後の遺言です。
 よくないのは、消費税の増税だったのです。

アダム・スミスの
「重商主義の罠」

広瀬 吉原さんのおっしゃるように、原発がないほうが日本経済にとっていい。そのことは実証されたのだから、早く経済人がそれを常識にしてくれないと困ります。

吉原 国富が流出するというのは、18世紀の経済学でアダム・スミスの言う「重商主義の罠」です。
 当時のスペインがどんどん輸出し、金銀財宝を対価として稼げば自国は豊かになります。これが、大航海時代の重商主義です。
 ところがその結果、どうなったかというと、そうやって金銀を集めたら、世界各地から金銀が失われてデフレになり、スペインのものを買ってくれなくなりました。重商主義で自分が金銀を集めすぎると、買い手の誰もが貧しくなってしまうのです。

 日本がやってきたことも同じです。
 輸出だ、輸出だと騒ぎ、輸出重視で貿易黒字ならOKと考えていた。すると円高になり、海外から安いものが入ってきた。そうすると、産業は空洞化し、失業者が出て、デフレになった。「国富が失われる」というのは、古色蒼然とした重商主義の亡霊であり、経済学的にナンセンスです。
 貿易収支はプラス・マイナスゼロが一番いいのです。

原発とは国家ぐるみの
壮大な粉飾決算だ

広瀬 それに、なぜ電力会社の経営が悪化したかというと、明確な理由があります。
 彼らは停止中の原発の維持・管理だけで年間1兆2000億円(3年間で3兆6000億円)を使い、さらに危険な原発を再稼働させるための安全対策費で2014年末まで2兆4000億円を使ってきました。

 燃料費の増加分などよりはるかに巨額の無駄金6兆円以上を1ワットの電気も生んでいない原発に浪費して、経営が苦しくなったのです。
 しかも、この再稼働対策費のほとんどは、大事故を防止できない欠陥工事だらけなので、今後も果てしなく泥沼の出費が続きます。

吉原 そうですよね。私は講演先でいろいろな人と話をしますが、まだまだ原発は経済的だと思っている人が多い。
 原発は燃料費が安いといっても、それは一面でしかなく、設備の建設コストや使用済み核燃料の処理費、これから必要な膨大な廃炉費用など、間接的コストがトテツモナイ巨額になるのです。
 なのに、メディアも国民も日本政府も、まったくこの間接費を見ていない。

 しかも今回のような原発事故が起きた場合、損害賠償費用はトテツモナイ額になり、民間の保険では対応できません。
「異常に巨大な天災地変」(原子力賠償法)が起きた場合、電力会社の責任は免責され、被害者の国民に巨額のツケが押しつけられるという不条理な仕組みで、かろうじて成り立っています。

 したがって、もし原発事業を民間ベースで行ったら、これに融資をする金融機関は1つもないでしょう。それほど原発はリスクもコストも高いのです。原発は採算に合うわけがない。
 私は、それをテレビ朝日系列の「報道ステーション」のゲストで呼ばれた時に主張しました。
 また、金融のプロが注目するロイターでも述べ、世界中に発信されました。
しかし、反論はゼロです!! 原発は国家ぐるみの壮大な「粉飾決算」なのです。

 こんなおかしなビジネスは、普通成り立つはずがない。
 金融マンとして考えれば、こんなおかしな事業が「融資対象」になるはずがありません。

広瀬 その粉飾も、化けの皮が剥がれてきました。
 フランスの原子力総合企業・アレヴァは4年連続の赤字を続け、2014年に6700億円の膨大な損失を記録し、実質的に経営破綻して大量解雇の方針を打ち出しました。
 フランスの原発比率はすでに現在75%に下がりました。今後10年で58基のうち20基を廃炉にする計画です。

吉原 日本でも東芝の粉飾決算はひどいものです。商法違反の堀江貴文さんが2年6ヵ月の懲役ですから、東芝の罪はさらに重いはずでしょ。しかし、小物は捕まったけれど大物は捕まらない。おかしな世の中ですよね。

広瀬 その東芝で粉飾決算の原因になったのが原発ですからね。

吉原 2006年に、東芝は当時社長だった西田厚聡前相談役の「選択と集中」の号令のもと、半導体と共に、原子力を事業の2本柱に位置づけました。
 アメリカの原子力大手ウェスティングハウスの買収は、原子力事業に投資を集中させる目玉中の目玉でした。

 でも、この買収は、当時から「高値づかみ」の見方が強かったのです。
 なにしろ、三菱重工に2000億円で売るはずだった会社を東芝は8000億円で買ったのですから。ウェスティングハウスを売りつけたロックフェラー財閥は、笑いが止まらなかったでしょうね。

 しかし、福島第一原発事故で原発事業計画の見直し機運が高まり、想定していた新規受注が難しくなりました。

広瀬 オリンパスが「飛ばし」という手法で巨額の損失を10年以上にわたって隠し続け、不正な粉飾決算で処理していた事件がありました。
 電力会社もあれと同じです。原発を廃止すれば、彼らは原発資産の特別損失を計上しなければなりません。つまり、電力会社が過去に原発にのめりこんだ失敗によって自ら生み出したのが、その損失です。

 この損失を隠すために、電気料金の値上げで消費者を恫喝し、無用で危険きわまりない不良資産の原発を再稼働できる資産に見せようとしているだけなのです。ここにきて、顧客の企業が次々電力会社離れを起こしています。いいことです。

 さらに、2016年4月1日から実施される電力の完全自由化によって、電力会社が7割の利益を上げてきた家庭用でも選択が可能になります。
 東京電力管内では、38%の消費電力の一般家庭から91%の利益を得てきたのですから、来年からは、50%以上の利益が吹き飛びます。

 つまり、われわれが契約を電力会社から新電力に切り替えて、新しい産業を味方につければ、この勝負は勝てます。電力会社が打てる手は、電気料金値上げしかない。すると、ますます企業が電力会社離れを加速します。その結果、電力会社は、存亡の危機に立たされますよ。新電力への契約切り替えを、どんどん呼びかけましょう。

 電力会社は原発に見切りをつけない限り、膨大な数の顧客を新電力に奪われ、ますます経営が悪化し、経営破綻に追い込まれるでしょう。

吉原 原発を廃絶して、特別損失で困るのは電力会社だけです。しかし彼らも、もうそろそろ頭を使って、未来を考えるべきだと思いますがね。原発をやめるなら、われわれも電力会社に味方してあげられるのに……。

広瀬 そうですよね。

 次回は、信用金庫と銀行の違いと、再稼働、安保、TPP……と亡国へ導く安倍晋三の本当の罪について、お話ししましょう。

(つづく)

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2015年11月11日 19:46

(既得権層に)不都合な真実が自ずと伝えられることはない。。。Vol.2

■東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

広瀬隆 [ノンフィクション作家]

原発依存に反旗を翻した
金融界に1人だけの「超」異端児
――吉原毅×広瀬隆対談【パート2】

壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第6刷となった。
本連載シリーズ記事も累計270万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者と、城南信用金庫の前理事長で「反原発」をかかげ、小泉純一郎元首相からも信頼の厚い吉原毅(よしわら・つよし)氏が初対談!
吉原氏の著書『原発ゼロで日本経済は再生する』のオビには、ベストセラー『デフレの正体』や『里山資本主義』著者の藻谷浩介氏が、「経済人ならわかる、原発は採算割れだと。だがそう語れる真の経営者は吉原さんだけだ」とある。
吉原氏は慶應義塾大学出身のエリート金融マンだと思っていたら、それだけではなかった!
従来の金融マン像とは似ても似つかない、歯に衣着せぬ物言いで政府や東京電力へ迫る。
フクシマ原発事故後、城南信用金庫は東京電力と縁を切り、信金内の電力をガス会社主体の「エネット」というPPSへ切り換え、1000万円以上の節減に成功。大きな話題を呼んだ。
これこそ、ほんとうの“ラストバンカー”ではないか。
そんな折、8月11日の川内原発1号機に端を発し、10月15日の川内原発2号機が再稼働。そして、愛媛県の中村時広知事も伊方原発の再稼働にGOサインを出した。
再稼働後、豪雨による鬼怒川決壊、東京で震度5弱、阿蘇山噴火、南米チリ沖マグニチュード8.3地震、アフガニスタン北部のマグニチュード7.5地震など、今なお自然災害が続出している。
本誌でもこれまで、32回に分けて安倍晋三政権や各県知事、および各電力会社社長の固有名詞をあげて徹底追及してきた。
これまで「原発が止まると電力不足になる」と言われてきたが、本当なのか?
気鋭の論客同士の対談2回目をお届けする。
(構成:橋本淳司)

大手マスコミによる
電力不足プロパガンダ作戦

吉原 今でも多くの人が誤解しているのが、原発が止まると電力不足になるという迷信です。
 川内原発や伊方原発を再稼働すべきかどうかの議論している時、地元の方が、「電力が不足するので仕方ない」と言っているのを聞きましたが、そんなことはまったくないのです。
 実は、電気はあり余っているのです。

 2011年3月11日に起こった福島第一原発事故のあとに、あの原発は廃炉となり、その他の原発も2012年5月までにすべてが運転を停止して、定期検査に入りました。

 電力需給の厳しさなどを理由にして、野田政権は、動かさなくてもいい関西電力の大飯原発3、4号機が2012年7月~2013年9月に稼働しましたが、それ以外は川内原発が再稼働するまで、すべての原発は停止が続きました。
 それでも電力不足は起こりませんでした。この2年間は、完全に原発ゼロですよ。

広瀬 そのとおり。2年間、原発ゼロを続けて電力供給にまったく支障がなかったのです。

 2014年度は電力の47.5%を天然ガス、31%を石炭火力によってまかないました。

 この比率は2015年現在ではさらに大きくなっていますし、トヨタをはじめ大企業の自家発電もどんどん増えています。
 吉原さんが広めている自然エネルギーも長期的には相当な電力量をまかなえるので、原発を動かさなくても電力不足など起きるはずがないのです。

吉原 「原発が止まると電力不足になる」というのは、ウソのプロパガンダだったのです。

 振り返ってみると、フクシマ原発事故の直後には「原発が止まったら電力不足になる」「この夏は乗り切ることが難しい」「江戸時代のような生活になる」などと、根拠のないデマ記事が大手新聞に繰り返し掲載されました。

広瀬 そういう新聞記事が次々と出ましたね。あの記者たちは、今日まで一度も記事を訂正していません。

吉原 いわゆるリーク記事です。「関係者筋によると」「専門家筋によると」などと表現され、責任の所在を明確にしない記事やニュースは、デマの記事が多いのです。

 そして、世論を誘導するために、そうした手法がよくつかわれるのです。

 私は、企業内で宣伝・広告の仕事もしてきたプロですから、手口がよくわかります。

 原発に関するリーク記事が数多く流れているということは、未曾有の大事故を受けてもなお、原発を推進させたいと望む人間が大勢いることの証でした。

城南信用金庫内での「徹底節電」は
どう実現したのか?

広瀬 マスコミが味方になってくれないなかで、原発廃絶を訴えるために、吉原さんが次々と行動を起こしたのですが、その成果を語ってください。

吉原 まず、城南信用金庫の店舗での節電です。
 電力使用量を減らせば、原発がなくても大丈夫と言えます。電力消費が高まる夏場のピーク時には、ロビーやオフィスの温度を29度にしましたが、さすがに暑かったので28度にし、家電量販店で買ってきた扇風機を回しました。

 店舗内の無駄な電灯もほとんど消しました。ロビーの電灯を消したらお客様に申し訳ないと思ったのですが、年配のお客様から「戦争中はもっと厳しかった。徹底的に節電しなさい」と背中を押されたこともありました。

 フクシマ原発事故を起こして、東北の人が苦しむことになった責任者は、その電気を使ってきた首都圏の私たちですから、電力消費のピーク時に対応するためにはエネルギーの地産地消、つまり地域で生産された資源をその地域で消費することが必要だと気づきました。

 そのために、本店と事務センターの屋上にソーラーパネルを設置し、本店におけるLED照明200本分の電力を太陽光発電でまかなうようにしました。

 また、日本の家電メーカーのエコ技術や省エネルギー技術は世界最高峰の水準を誇っています。とりわけエアコンは日進月歩で技術が開発されています。最新のエアコンの電気消費量は、何と旧型の4分の1以下です。

 私は全店舗の空調設備を買い換えることを決めるとともに、一部店舗の空調を電気から、電気を使わないガスヒートポンプ(GHP)エアコンに切り替えました。

広瀬 私も吉原さんと同じように、具体的な方法で原発ゼロを実現したかったので、フクシマ原発事故のあと、市民運動の講演会だけでなく、エネルギー業界からのたくさんの講演依頼を引き受けてきました。
 そこで、この人たちが電力問題の救世主だと知って、さまざまな技術を教えてもらいました。

 その一つが、今おっしゃった、ガスを使って冷暖房を行う空調システムのガスヒートポンプエアコンでした。家庭用では電動エアコンにコストで勝てないので、企業用として大普及していると教えてもらいました。GHPで真夏のピーク電力を大幅に下げられる、と。

 原発の電気は、発電時と送電時にそれぞれ膨大なロスが生じるので、最終的に、つくられたエネルギーの30%しか、電気として利用者のもとに届きません。

 これがガスの場合は、導管を使用するためにほぼ100%のエネルギーを届けられるため、従来の電動式エアコンに比べて冷房電力の消費量を10分の1に減らすことができます。

吉原 こうした努力を積み重ねていった結果、全店における2011年度の電気使用料を前年比で23.5%削減できました。2012年以降は、1000万円以上のコストカットですよ。当たり前の改善をすれば、いくらでも無駄な出費を省けるのです。

どうすれば、マスコミがくるか?

広瀬 節電を促すような金融商品を、色々開発したそうですが、どんなものでしたか。

吉原 原発廃絶を訴えようと思ってもマスコミは取り上げてくれません。
 そこで新商品をつくり出すのはどうだろうと考えました。報道機関は新商品なら報道しやすいのです。
 ゴールデンウイーク前の2011年4月28日に「節電三商品」を発表し、5月2日の月曜日から窓口での取り扱いを開始しました。

広瀬 節電三商品?

吉原 「節電プレミアム預金」「節電プレミアムローン」「節電応援 信ちゃん福袋プレゼント」の3つです。

「節電プレミアム預金」は、省電力および省エネルギーのために10万円以上の設備投資を行った個人のお客様を対象に、通常は0.03%の1年ものスーパー定期預金(一世帯最大100万円)の金利を1%にするというものです。

「節電プレミアムローン」は、ソーラーパネル、蓄電池、自家用発電機、LED照明を新たに設置するお客様をサポートする個人向けローンです。最大300万円を最初の1年間は金利0%、2年目以降は1%で融資します。

「節電応援 信ちゃん福袋プレゼント」は、前年比で30%の節電に成功した個人のお客様が、電気料金の明細書を持ってきてくだされば、信用金庫のキャラクターである信ちゃん貯金箱と福袋をプレゼントするというものです。

広瀬 「節電プレミアムローン」の「最大300万円を最初の1年間は金利0%」というのは、金融機関としては大変な決断ですね。

吉原 当初から赤字になるのは織り込み済みでした。それでもマスメディアに注目してもらい、原発ゼロ実現への断固たる決意を示すことが何よりも大切だと考えました。「節電応援 信ちゃん福袋プレゼント」には、こんなメッセージを記したパンフレットも同封しました。

「原発はとてもリスキーなものなので、原発に頼らない安心な社会をつくりましょう」

 いいでしょ。子どもたちにも興味を持ってもらい、わかりやすいように、商品で注意を惹いて、パンフレットで言いたいことを伝えました。
 営業活動は同時に社会を変革する活動につながります。85の店舗ネットワークと渉外活動の営業を使って、商品の推進と同時に原発を止めようというキャンペーンを行いました。

広瀬 吉原さんのすばらしいところは、こうした具体的な行動によって、一般の方を原発反対に導いているところです。

 次回は、原発とは、国家ぐるみの壮大な「粉飾決算」である、というテーマでお話しさせていただければと思います。

(つづく)

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2015年11月11日 16:56

(既得権層に)不都合な真実が自ずと伝えられることはない。。。

■東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

広瀬隆 [ノンフィクション作家]

「変人」小泉純一郎もたまげた!
ほんとうの“ラストバンカー”の志
――吉原毅×広瀬隆対談【パート1】

壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第6刷となった。
本連載シリーズ記事も、累計266万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者と、城南信用金庫前理事長で「反原発」をかかげ、小泉純一郎元首相からも信頼の厚い吉原毅(よしわら・つよし)氏が初対談!
吉原氏の著書『原発ゼロで日本経済は再生する』のオビには、ベストセラー『デフレの正体』『里山資本主義』の著者・藻谷浩介氏が、「経済人ならわかる、原発は採算割れだと。だがそう語れる真の経営者は吉原さんだけだ」とある。
吉原氏は、慶應義塾大学出身のエリート金融マンだと思っていたら、それだけではなかった! 従来の金融マン像とは似ても似つかない、歯に衣着せぬ物言いで政府や東京電力へ迫る。
フクシマ原発事故後、城南信用金庫は東京電力と縁を切り、信金内の電力をガス会社主体の「エネット」というPPSへ切り換え、1000万円以上の節減に成功。大きな話題を呼んだ。
これこそ、ほんとうの“ラストバンカー”ではないか。
そんな折、8月11日の川内原発1号機に端を発し、10月15日の川内原発2号機が再稼働。そして、愛媛県の中村時広知事も伊方原発の再稼働にGOサインを出した。
再稼働後、豪雨による鬼怒川決壊、東京で震度5弱、阿蘇山噴火、南米チリ沖マグニチュード8.3地震、アフガニスタン北部のマグニチュード7.5地震など、今なお自然災害が続出している。
本誌でもこれまで、31回に分けて安倍晋三政権や各県知事、および各電力会社社長の固有名詞をあげて徹底追及してきた。
地元の7割が伊方原発再稼働反対という民意を受け、「愛媛新聞」も再稼働反対の社説を展開。だが、大手マスコミはこの事実を報道せず、着々と再稼働が進められていく。
いったい民意はどこにあるのか? 気鋭の論客同士の対談1回目をお届けする。
(構成:橋本淳司)

東日本大震災前まで
「原発肯定派」だった吉原毅

広瀬 吉原さんは、『原発ゼロで日本経済は再生する』(角川oneテーマ21)という本をお書きになっていますが、中身が濃いので私は何度も何度も読み返しました。

 人生哲学を基本として、含蓄のある言葉が次々と出てくるので、今でも、読み返しています。
 今日は、聞き役に徹しますので、ダイヤモンド書籍オンラインを読む人に、存分に、改めてお考えを語ってください。

 そもそも吉原さんは、フクシマ原発事故が起きてから、原発の危険性に気づかれたのですね?

吉原 東日本大震災が発生するまでは原発肯定派でした。

 今から思うと自分でも腹立たしいのですが、政府、電力会社、マスコミ、学者によってつくり上げられた原発の「安全神話」を盲信していたのです。

 慶應義塾大学経済学部の加藤寛先生(1926~2013)のゼミで経済学を学んだのがオイルショックの1973(昭和48)年頃でした。
 同じ経済学部F組の10年上で、加藤先生と大変親しかった大先輩があの小泉純一郎元首相です。
 学生当時は、石油が枯渇する時代に対応するには原子力しかない、夢のエネルギーを活用することが日本経済発展の道である、と思い込んでいました。

広瀬 多くの人がそう思わされたのです。大変なトリックなのですが……。
けれども、その考えに疑問を持たれたスタート点は、どこにありましたか?

吉原 何よりも、2011年3月11日に東日本大震災が発生し、福島第一原発が爆発しました。高濃度の放射能汚染により、福島県内には長期的に帰還できない地域ができ、東京はじめ全国的にも空気や土壌が、そして食品などが汚染されました。

 そのとき、福島県南相馬市に本店を置くあぶくま信用金庫から相談の電話をいただきました。

「4月に入社予定の新入社員10名の内定を取り消さなければならないので、城南信用金庫で彼らを採用してくれないか」

 と言うのです。話を聞くと、原発事故によって、あぶくま信用金庫の営業地域のおよそ半分が放射能汚染のため立入禁止区域になり、6店舗が閉鎖を余儀なくされたということでした。
 これには、大きな衝撃を受けました。原因が、津波でなく、放射能ですからね。

広瀬 事故によって人が住めなくなり、自分の住む地域そのものが失われた。
 それは文化の喪失という重大事です。絶対にあってはならないことです。

吉原 はい。信用金庫は地域を守り、地域の人たちを幸せにするのが大きな使命です。その大切な場所が一瞬の事故で失われてしまいました。

 しかし、「安全神話」が崩壊したにもかかわらず、どの報道を見ていても、政治家、官僚、電力会社は、誰一人謝らない。責任をとろうともしない。そこに学者とマスコミも加わって「原発事故は想定外」というデタラメの大合唱です。マスコミから批判の声が上がることもありませんでした。

広瀬 想定外どころか、大津波は想定されていたんですよ。

吉原 そうです。本当にひどい話です。こうした現象を見て、ゾッとしました。

 どうして、このような無責任とデタラメが流布するような異常な事態になるのかを調べてみると、政治家も学者もマスコミも、「原子力ムラ」という巨大な利権組織に組み込まれ、電力会社、つまり電気事業連合会(電事連)からの巨額のお金がコマーシャルに注がれ、それによって情報が操られていることがわかりました。

「OurPlanet-TV」で
10万PVの大ブレイク

広瀬 原子力シンジケートは、一種のマフィアで、日本の政財界、マスコミ、学会を全部支配し、さらには地域社会も支配しています。シカゴのギャング、アル・カポネと同じです。金を握らせてね。

吉原 そうです。そこで、原発事故が起こったとき、私たちの城南信用金庫では、どのように行動すべきか考えました。
 信用金庫とは、ただの金融機関ではなく、協同組合組織であり、社会貢献企業です。

 信用金庫の生みの親で幕府の重鎮だった上総一宮藩主、加納久宜(かのう・ひさよし)と、城南信用金庫の3代目理事長・小原鐵五郎(おばら・てつごろう)は「世の為、人の為」を唱え、正しいことを実現するために、いつも命がけで戦ってきました。

 こうした伝統を受けて、私たちは日頃から「地域のみなさんを守り、地域を幸せにするために存在する」と言っていましたから、こんなときに私たちが何もしなかったら、なさけないじゃないですか。

 2011年4月1日、城南信用金庫のホームページに、「原発に頼らない安心できる社会へ」というメッセージを掲げ、原発を止めるための節電キャンペーンを開始しました。

広瀬 私が吉原さんに惚れたのは、そうした具体的な行動力です。反応はどうでしたか。

吉原 新聞記者やテレビ局に声をかけ、節電キャンペーンの取材を受けました。なじみの記者は、みんな興味を持って取材に駆けつけて熱心に原稿を書いてくれました。

 ところがですよ、どの新聞にもまったく記事が掲載されず、各テレビ局も録画撮りまでしたのに結局ボツになりました。
 いったい、この世はどうなっているのかと驚き、ゾッとしました。

広瀬 マスコミの営業部は、原子力産業の圧力の前に、何も言えなくなっているのです。それで、デスクも引いてしまうのですね。

吉原 そうしたなかで、非営利のインターネット放送局「OurPlanet-TV(アワープラネット・ティービー)」の代表を務める白石草(しらいし・はじめ)さんが取材にきてくれました。
 私は白石さんの質問に答えながら、脱原発と節電の呼びかけを行いました。この動画がネットにアップされると、10万ページビュー(PV:サイトの閲覧数)を超すアクセスとなり、大きな反響を呼んだのです。そこからキャンペーンがブレイクしました。

「脱原発」を堂々と表明する
“変わった”金融機関トップ

広瀬 その後、静岡県にある浜岡原発の廃炉訴訟にも参加されたそうですが、あれはどういうキッカケだったのですか?

吉原 浜岡原発廃炉訴訟の弁護団長を務める河合弘之弁護士から、
「厳正な裁判を行うために、ぜひ原告として参加してもらいたい」
 と依頼を受けました。

 金融機関のトップとして、そこまでやるべきかと迷いましたが、浜岡原発は福島原発より関東圏の近くにあります。事故があれば、うちの営業エリアである東京と神奈川がやられます。直下には東海大地震の震源断層もありますし、出力も大きく危険性も高い。
「困っている人がいるなら助けるべきだ。何も逃げることはない」と考えて、原告団に参加することを決めました。

広瀬 運動に参加してくださることは、私たちの仲間にとって大いなる励ましでした。

吉岡 その後、2011年6月ごろになると、一部のマスコミからも取材の要請がくるようになりました。
 現場の記者は原発反対の記事を書きたいけれど、会社の方針でそれは難しい。でも、原発反対を表明している「変わった金融機関のトップ」のインタビューであれば、これを批判する形で取り上げることができるという苦肉の策でした。
 私は「変わりもの」役を引き受けて、新聞、雑誌、テレビで原発反対を訴えました。

広瀬 吉原さんが声をあげてくれたおかげで、勇気を与えられた仲間がたくさんいました。初めてこの問題に関心を持って、新たに活動を始めた人もいます。

吉岡 同じ金融業界内でも、「本当にいいことをやっていると思う」と多くの方に声をかけてもらいました。
 あの人たちも、やむにやまれぬ事情から積極的に声をあげないだけで、心のなかでは賛成している人たちがたくさんいたのですね。
 住友銀行や三井住友銀行で頭取を務めた“ラストバンカー”の西川善文氏はご自身のブログで、

「金融機関がここまでは働きかけるのは異例である。城南信用金庫のこの英断は、原発依存から脱却するため再生可能な代替エネルギーへシフトする意識の大転換に貢献すると評価される。国として脱原発に取り組むのであれば、こうした動きが大銀行をはじめ全金融機関に波及することを期待する」

 と高く評価していただきました。

広瀬 西川さんはハートがあったからそう発言しましたが、その後、彼は銀行の内部で、大変だったのではないでしょうか?

吉原 その後で、現役の経営陣から寄ってたかって叩かれたと聞きました。
後輩たちから「余計なことを言わないでください。困るじゃないですか」と。
 事故を起こした東京電力が救済された経過を見てもわかるように、三井住友銀行が原発に多額の金を貸していますからね。ハートがある人がいても、社内で足を引っ張る人がいっぱいいる。

 なぜかというと、目先の金儲けを最優先するからです。
 なぜそうするかというと、会社は「自分の目先の利益」を最優先させるべきだと思っているからです。そうすると、金儲けに少しでも差し障りがあるようなことは言わないし、やらない。事なかれ主義が正しいと思っているのですでも、私はそう思いません。
 会社は世の中に貢献するためにあると思っています。

広瀬 私は吉原さんを知るまでは、信用金庫と銀行の違いを知りませんでした。それで、世の中のために活動する城南信用金庫に貯金を移そうと、みんなに呼びかけました。
 吉原さんの素晴らしいところは、金儲けのためじゃないと言いながら、きちんと城南信用金庫の経営を成り立たせてきたところです。そこが最大のポイントです。

 次回は、今でも多くの人が誤解している、原発が止まると電力不足になるという迷信と、「脱原発」に向け、城南信用金庫内での徹底節電キャンペーンの具体的な行動について、お話しいただければと思います。

(つづく)

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2015年11月11日 16:39

各人の個々の考えに拠けばいいだけのこと、、、私は、選択可能な限りは心と身体に良くないものは摂りません。。。

■発がん性認定のソーセージやハム、怖がる人は交通事故防止に外出を一切やめるべき

 今回は「極端君」に登場してもらいます。極端君は「今日から加工肉は一切食べない」と宣言しています。彼の意見は先日、世界保健機関(WHO)が出した報告に機敏に対応したものです。WHOは国際連合の一機関です。そんな権威ある組織が、「ハムやベーコン、ソーセージなどの加工肉は、人に対して発がん性がある」と正式に認定したのです。たとえば、毎日50グラムの加工肉、つまりホットドッグ1本、ベーコンスライス2枚を食べると大腸がんのリスクが18%上昇するというのです。

 22人の専門家が800件近い研究結果を分析し、そして「The LANCET Oncology」という一流英文誌に発表されたものです。権威ある機関が、権威ある雑誌に、そして統計的な明らかな有意差をもって出された結論です。テレビのバラエティ番組などで取り上げられる「○○は××に良い」といった根拠のない話とは雲泥の差があります。

 極端君は、このWHOの発表を受けて、今日から加工肉は一切口にしないそうです。私はそんな選択肢もOKだと思います。バラエティ番組を見て、特別な医学的根拠や統計的有意差などまったくないのに、「○○が××にいい」と放映されると次の日にその食品が欠品するような国に私たちは住んでいるのですから。

 極端君のような人はどこにでもいるので、「確かにそんな意見もある」ということで納得するとして、では一般的な人はどうすればいいのでしょうか。

 まず、発がんの「%」ですが、「18%」という点が大切です。たった18%しか上昇しないのです。これが、「2〜4倍」などとなるのであれば、当然に食することはやめたほうがいいと思います。ホットドッグ1本で18%ということは、毎日ホットドッグを5本食べてやっと2倍のリスクになります。毎日ベーコンを10スライス食べて、2倍のリスクになるのです。それほど食べる日本人は一般的ではありません。

 そして国立がん研究センターも、私の直感と同じ以下のコメントを先日出しました。
「日本人の平均的な摂取の範囲であれば影響はないか、あっても小さい」

●バランスよく考える

 さて、極端君の意見を無視するのではありませんが、ひとつ極端君に質問があります。
「交通事故で毎年何人が亡くなっているか知っていますか?」

 答えは、「最近は毎年4000人強」です。4000人も毎年亡くなっているのです。もしも年間4000人以上が亡くなっている交通事故に遭いたくなければ、外出を一切控えればよいのです。しかし、私たちはそんなリスクは承知の上で、必要だから、楽しいから、ただなんとなく、当たり前のように外出します。

 バランスよく考えるとはそういうことです。極端を通すのであれば、危険を避けることを徹底するのであれば、極端君は今日から外出をやめて家に閉じこもっていたほうが、加工肉の摂取をやめるよりもはるかに効果的です。

 つまり、私たちはある程度の危険は承知で生きているのです。今回の報道もWHOが世界に向けたものであって、加工肉の摂取が比較的少ない日本では、あまり心配する必要がないと思います。

(文=新見正則/医学博士、医師)

[Business Journal]

Posted by nob : 2015年11月09日 11:28

同感です。。。

■問題だらけのマンション大崩壊! 所有するのは愚か、“賃貸”が正しい

横浜市のマンション欠陥工事問題で揺らぐマンションへの信頼ーー。

不動産コンサルタントの牧野知弘氏は、著書『2020年マンション大崩壊』で「オリンピック後にマンションの空き家は激増し、コミュニティの崩壊が始まる」と予測する。

今、首都圏でも人気の都心部タワーマンションですら、その価値は安泰でないという(前編⇒「オリンピック後にマンション空き家が激増する!」)が、マンション市場で何が起きているのか?

■格安物件は危険な買い物

―では、郊外の格安中古物件はどうでしょう。すでに1千万円を切る物件も珍しくありません。

牧野 200万円、300万円などもありますね。でも、これを買うのは大変危険。1千万円を切る築40年の郊外物件を買った友人は「建物は朽ち果てないし、中だけキレイになればハッピーだよね」と、物件価格より高いお金をかけてフルリノベした。ところが住んで1年、奥さんは「もう出たい」と。

部屋はキレイにしても、オートロックはなく共用部分は老朽化している。管理組合で壁の塗替えやオートロックの設置を提案しても、住人は年金暮らしの高齢者ばかりで「そんなもんいらん。余計なことするな」とあっという間に否決。挙げ句の果てに、「あの家はうるさい」と無視されるようになったとか。

安いのは「買いたい」という需要がないから。僕はこの仕事をしていて、不動産ほど「安物買いの銭失い」という言葉がぴったりくる分野はないと思っています。

―でも、やはり考えてしまうのは、家賃は払い捨てだけれど購入すれば資産になるということです。

牧野 その議論が起こるのは、時間軸をゼロで考えているから。マンションは買った時に7千万円でも、月17万円のローンが払い終わる35年後には、建物としての価値は大幅に落ちています。しかもその間、修繕積立金、管理費、固定資産税、金利など実際は7千万円以上支払います。

買った時は新築ピカピカでも35年たつとボロボロ。そろそろエレベーター替えないと、外壁も打ち替え、配管も取り替えないといけないので、追加で修繕費用を出してください…という世界。空き家が増えてスラム化の状態になってしまうと、売れない、貸せない上、自分が住んでいなくても管理費や固定資産税は払い続けなくてはなりません。

さらに、もし地震やテロがあってもなかなか身動きがとれない。頑丈なはずのタワーマンションでも構造や躯体になんらかの損傷が生じれば建物ごとアウトになる。僕はデベロッパーに16年いましたけど、建物についてはあまり信用してきませんでした。非常用発電があるから大丈夫というけど、フルで動かしてもエレベーターのうちの半分、3日しか持ちません。オフィスならまだしも生活を営むマンションでは不安ですよね。

―タワマンでも? そう聞くと、買うのが怖くなってきます…。

牧野 一方、賃貸は家賃が月15万円だとして、人口がどんどん増えて景気が良くなれば賃料は上がりますが、日本はどうでしょう? すでに都心でも空き家だらけの状態で、築年が経つにつれ家賃は下がり、今後15万円が10万円になるかもしれない。この金額は生活するためのコストだと割り切ってしまえばよい。

これまでは賃貸は仕様が悪いのが常識でしたが、これから分譲で買われた人が高齢になって空き家になると、都心の便利な場所で質の高いファミリー向けがどんどん賃貸マーケットに出てくる。賃貸なら、子供が独立して部屋が余ったり、転勤があっても、ライフスタイルに合わせて気軽に借り換えできます。

―確かに、いつでもリセットできるのは気楽でいいですね。

牧野 2020年にマンションが大量に売りに出る頃には、家賃は一部のエリアを除いて少しずつ下がってくると思われます。中古売買マーケットでは、すでに春くらいから湾岸部では買いより売りが多くなっている。もう地下でマグマは動きはじめています。

僕がこの本を書いた最大の感想は、「マンションは賃貸資産」。都心のマンションを賃借して住むために使いこなす。これが正解だと思います。

●牧野知弘(まきの・ともひろ)
オラガHSC株式会社、株式会社オフィス・牧野代表取締役。東京大学経済学部卒業。ボストン・コンサルティング・グループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J‐REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在はホテルや不動産の開発・運用アドバイザリーのほか、事業顧問や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題--1000万戸の衝撃』(祥伝社新書)ほか

[週プレNEWS]

Posted by nob : 2015年11月08日 17:41

本気の種

本気の言葉はやはり聴く人に響きます

人は、人の本気が響いて初めて動きます

そして、、、本当のこと、本気の種は、自ずとつながっていくのです。。。

Posted by nob : 2015年11月04日 16:38

一部の既得権層のみと相互擁護を謀るだけの、、、虚構にさらなる虚構を塗り重ねるアベノミクス。。。

■アベノミクスの矢がいつまでも的外れな「本当の理由」

嶋矢志郎 [ジャーナリスト]

現実離れした新・三本の矢は
旧・三本の矢の失政隠しか?

 アベノミクスが第2ステージへ移った。安倍首相は「強い経済」を最優先に、新たな3本の矢を提唱した。これまでの「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」という3本の矢に加えて、「希望を生み出す強い経済」「夢を紡ぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」という新たな3本の矢を掲げて、「誰もが家庭で職場で地域で、もっと活躍できる1億総活躍社会」を目指す、と宣言した。

 強い経済では、2014年度に約490兆円であったGDP(国内総生産)を2020年には同600兆円に増やすことを目標に掲げている。子育て支援では、欲しい子どもの数をもとに算出する希望出生率1.8の実現を提案している。社会保障では、介護離職ゼロをはじめ、生涯現役社会の構築、待機児童ゼロや幼児教育無償化、3世代同居拡大などの支援策を掲げ、50年後も人口1億人を維持するという国家としての意思を明確にする、と明言した。2017年4月に予定している消費税率の10%への引き上げについても、「リーマンショックのようなことが起きない限り、予定通り実施する」と強気である。

 来年夏に参院選を控えているとはいえ、安倍首相は先の第3次内閣の発足に際し、国民へ向けて発したメッセージとしてはいかにも軽く、言葉だけが踊り過ぎていて、空しさを禁じ得ない。とりわけ「GDP600兆円」とか「希望出生率1.8」とか、揚句には「介護離職ゼロ」に至っては、いずれも現実離れした無責任な夢物語で、いかにも客寄せのセールストークに近い。

 国民が切望しているのは、地道で実現可能な政策目標であり、より具体的な施策の着実な有言実行である。そのためにも、第1ステージの総括が必要不可欠であるが、安倍政権には今のところ総括する気配はない。むしろ、第2ステージの「新・3本の矢」は第1ステージの失政を覆い隠すための目くらまし政策であり、プロパガンダ(喧伝、吹聴)ではないのか、との厳しい批判も広がっている。

 アベノミクスの第1ステージがスタートしたのは、2012年12月のこと。間もなく3年になるが、結論を先に言えば、3本の矢はいずれも初めから的が外れており、焼き石に水ではなかったのか、と言わざるを得ない失政である。

 第1ステージでは当初、円安や株高が進み、企業業績は回復、改善し、好転した。しかしデフレ脱却を決意して掲げた、物価を2年以内に2%へ上昇させるというインフレ目標はいまだ叶わず、GDPも今なお伸び悩んでいる。待望の景気回復や経済成長の押し上げ効果も芳しくない。打ち出してから2年半に及ぶ異次元緩和の第1の矢は、年80兆円の国債購入など、かつてない大胆な施策を繰り出したが、笛吹けど踊らずで、物価にも景気にも響かず、期待外れに終わっている。最近は、追加緩和への待望論まで取り沙汰されている。

 機動的な財政運営の第2の矢は、計19兆円規模の3度にわたる財政出動などで、いわゆる有効需要政策を繰り出したが、これも眼に見えるほどの需要効果を発揮しているとは聞いていない。民間投資を喚起する成長戦略の第3の矢に至っては、規制改革をはじめ、女性が輝く社会の実現など、多くの施策を次々と公表したが、そのほとんどが手つかずのままで、期待を裏切っている。

 円安効果は、確かに外国人観光客の増大で「爆買い」が低迷する内需を下支えしているが、その一方で輸入価格の上昇が個人消費を冷やしている。異次元緩和による国債の大量購入も、課題解決の負担を先送りしているだけで、決して賢い善政ではない。日銀が大量に買い入れた国債はいずれ売却しなければならず、それまで国債価格を下落させずにいかに保全するか。いわば出口で軟着陸するための出口戦略が至難である。出口戦略は米国でも10年、20年の先行き見通しを要しており、日本ではさらなる歳月を要することは必至である。

アベノミクスの放つ矢は
なぜ的が外れているのか?

 それにしても、アベノミクスはなぜ、的が外れているのか。その要因には3つある。1つには、政策立案の大前提となる現状認識に決定的な事実誤認があること。2つには、日本経済の長期低迷の要因分析をあえて怠り、そのすべてを非科学的な「バブルの崩壊」で片づけ、それ以上の真摯な追求を蔑ろにしていること。そして3つには、視点と問題意識が総じて、企業などの供給や生産サイドへの配慮を優先し、消費者や生活者などの需要や消費サイドへの配慮を無意識のうちに後回しにしていることである。

 安倍政権にとっては、いずれもその背後に「不都合な真実」が隠されているため、故意に覆い隠したかったがための手抜き策ではなかったか、と勘繰っている。

 さて、前述の第1の要因は、アベノミクスの原点から検証していく必要がある。2013年1月の国会において、安倍首相は所信表明演説の中で、次のように述べている。

「我が国にとっての最大かつ喫緊の課題は、経済の再生です。(略)これまでの延長線上にある対応では、デフレや円高から抜け出すことはできません。だからこそ、私はこれまでとは次元の違う大胆な政策パッケージを提示します。断固たる決意を以って、強い経済を取り戻していこうではありませんか」

 これがアベノミクスの趣旨と狙いであるが、そのアベノミクスを必要としている日本経済の現状認識については、閣議決定した「基本方針」の中で次のように記述している。

「1990年代初頭におけるバブル崩壊を大きな節目として、日本経済は現在に至る約20年間、総じて低い経済成長に甘んじてきた。(略)我が国が取り組むべき課題は、先ず第1に長期にわたるデフレと景気低迷から脱出することである。(略)安倍内閣は相互に補強し合う(略)3本の矢、いわゆるアベノミクスを一体として、これまでと次元の異なるレベルで強力に推進していく」

「失われた20年」は事実誤認?
日本経済は1997年まで成長を維持した

 この現状認識には極めて基本的な事実誤認があり、看過できない。真実は1つなので、いかなる統計を見ても同じであるが、事実は1990年から1997年までは一貫して右肩上がりで成長を続けているということだ。90年を100とすると、97年は112で、この間の年平均成長率は2.2%であった。それが右肩下がりの低迷期に陥るのは98年からである。97年を100とすると、2013年は91で、この間の年平均成長率は0.6%のマイナス成長である。

 したがって、日本経済が長期停滞に陥り始めたのは、98年以降のことなのである。「失われた20年」と言われてからすでに久しいが、その起点は決して90年ではなく、実は98年からのことであったわけである。今、改めて「失われた20年」を正確に言い換えれば、今年は「失われてから18年」目を迎えている。

 日本経済の長期低迷を脱して、再生させる狙いはアベノミクスの本命中の本命の狙いで、3本の矢はいずれもこの的を射抜くために集中させていたと言っても過言ではない。それにもかかわらず、肝心な長期低迷の実態把握を「90年代の初頭におけるバルブ崩壊を大きな節目として、日本経済は現在に至る約20年間、総じて低い経済成長に甘んじてきた」とは一体、どういうことか。あまりにも大雑把で、事実を大きく誤認、逸脱している。

 これでは、長期低迷から脱して、再生させるために欠かすことができない要因の分析、究明も正確にできなければ、把握もできず、ましてや的を射た政策や対策を打ち出すことができるはずもない。

1998年から始まった長期低迷で
雇用者報酬と国内民間需要が下落

 では、日本経済はなぜ1997年をピークに、98年から右肩下がりのマイナス成長に陥ったまま、浮上できずにきてしまったのか。国民所得統計によると、長期低迷の背後には98年を起点に低迷傾向を辿り出したGDP(国内総生産)の増減傾向とほぼ軌を一つにして、雇用者報酬の下落傾向と国内の民間需要の減少傾向を見て取ることができる。

 雇用者報酬とは、国内で雇用されて働く人々が1年間に受け取る給料や賞与、手当などの総額である。これが97年までは一貫して右肩上がりで、それも急カーブで増え続けるが、98年からは右肩下がりに転じて、下降線を辿っている。

 国内の民間需要とは、家計の消費支出と住宅建設で、全体の8割を占めている。これも97年までは右肩上がりで増化傾向を辿るが、98年からは若干の増減を繰り返しながらも、減少傾向を辿っている。

 雇用者報酬と国内の民間需要とGDPの相関関係は、極めて高い。雇用者報酬が下がれば、国内の民間需要は減るし、国内の民間需要が減れば、日本経済の総需要が減る。総需要が減ればGDPを減らし、押し下げることになる。逆も真なりで、雇用者報酬が上がれば、最終的にGDPを増やし、押し上げることになる。

 総需要は、国内の民間需要と政府需要と輸出の合計で、国内の民間需要が全体のおよそ65%、ほぼ3分の2を占めているため、国内の民間需要の増減がGDPのそれに与える影響力は大きい。

 日本経済が97年をピークに、98年以降は長期低迷に陥り、「失われてから18年」を余儀なくされているのは、よく世界経済のグローバル化や新興国の台頭など、その主因を外圧に求める向きもある。しかし、国際比較統計からはそれを認めることはできない。なぜならば、97年を100として98年以降のGDPと平均賃金の推移を国際比較すると、欧米の主要各国はいずれも右肩上がりの上昇傾向を辿っている中で、日本だけが取り残され、GDPも平均賃金も共に緩い下降線を辿っているからである。

 98年からの日本経済の長期低迷の要因は、紛れもなく国内要因によることは明白である。だからと言って、これをも非論理的な「バブルの崩壊」でフタをして、終わりにしては真相の究明にならない。

「賃金の上がらない」構造が体質化
これこそが日本経済の長期低迷の主因

 実は第2の要因はこの真相の中に隠されていたのである。つまり、総需要やGDPを押し下げてきた先行要因の雇用者報酬が97年までは順調に増加傾向を辿ってきたのに、98年からは急に下降線を辿り出したのはなぜか。この背景にこそ、真相の核心が隠されている。

 結論から先に言えば、その時々の政権が96年以降に繰り出してきた日本経済の構造改革政策が、日本経済の秩序をいわば「賃金の上がらない」構造へ改革し、体質化させてすでに久しく、その構造と体質が今や骨肉化して、今日に及んでいる事実と現実こそが日本経済の長期低迷の主因である、と確信している。

 それはどんな事実で、現実なのか。ひとことで言えば、戦後の高度成長以来、日本経済の成長、発展の歯車を底辺から支え、推進してきた企業戦士といった、いわゆるエンジン役を果たしてきた「雇われ軍団」が、取り返しのつかないモラールダウン(やる気の委縮)に陥っていることである。

 歴代の政権が歳月を費やして労働者派遣法の相次ぐ執拗な改正で同軍団を正規、非正規に分断し、差別と格差で疎外し、労働分配率の低下で蔑ろにしてきたため、雇われ軍団のやる気をはじめ、生産性の向上力や購買力、さらには生活力から生きる力まで萎えさせてきた事実と現実は、日本経済の足腰を弱め、再生への復元力を失わせている。「失われた20年」で言うところの失ったものとは何か、と問われれば、残念ながら「雇われ軍団」のモラールダウンと言わざるを得ない。

 当時の構造改革政策は、橋本政権の96年からの同政策をはじめ、2001年から09年にわたる小泉、安倍(第1次)、福田、麻生の各政権がそれぞれに同名の政策を次々と繰り出して、日本経済を「賃金の上がらない」構造と体質へ、いわば上塗りしてきた経緯がある。このことは、07年版の『経済財政白書』や12年版の『労働経済白書』も認めている。両白書とも、企業業績や景気が回復、改善して、企業の収益構造には賃上げの余地が十分に出てきているにもかからず、雇用者の賃金が上がらなくなっている実態を分析している。

 ただ、白書はこの実態分析の結果を客観的に認めているだけで、これがその時々の各政権が繰り出してきた構造改革政策によってもたらされたものとは、触れていない。しかし、日本経済を「賃金の上がらない」構造と体質へ十数年にわたって改革し、その構造と体質が日本経済を長期低迷へ追い込んだ悪循環の因果関係は疑う余地もなく、この事実と現実に対する現状認識への欠如が的外れの元凶である、と筆者は確信している。

 政府の繰り出す規制緩和策が労働者派遣法の相次ぐ改正などで、企業の雇用形態を大幅に緩和、多様化した結果、非正規雇用労働者がこの十数年にわたって緩やかに増え続け、14年には全雇用者の37.4%、1920万人に及んでいる。非正規雇用とは、臨時、契約、派遣、パートタイマー、アルバイトなど、いわゆる正規雇用以外の有期雇用のことである。最近の雇用形態は正規雇用を減らして、相対的に賃金の低い非正規雇用を増やす傾向へ傾いているため、雇用者数は増えても、賃金水準を下げて、購買力を弱め、内需やGDPを押し下げるだけで、押し上げることはない。

労働者派遣法改正が象徴する
強きを扶け、弱きを挫く政策

 これが、的外れの第3の要因である。安倍首相は「アベノミクスで雇用は100万人以上増えた」と自画自賛する。安倍政権が発足する前の12年春からの3年間で、非正規雇用者は確かに約178万人増えたが、正規雇用者は逆に約56万人も減っている。企業は正規雇用者が退任しても、新規採用は非正規雇用者で補充し、なかには企業側の都合だけで正規社員を非正規へ、勝手に切り下げる傾向も広がっている。

 先の国会で成立した労働者派遣法の改正では、企業は働く人材さえ代えれば、派遣社員を雇い続けることができるようになるため、労組側は「正規を非正規へ置き換える動き」に拍車がかかるのは必至、と恐れている。

 労働者派遣法は、価値観やライフスタイルが一段と多様化していく中で、働き方や社会参加への選択肢を豊かにしてくれる点で、ごく一部の人たちにとっては確かにプラス面も無視できない。しかし、同法の思想をはじめ、趣旨や狙い、理念や目的が非正規の雇用形態を法的に正当化する点で、雇う側には圧倒的に利するが、雇われる側には絶対的に不利となる悪平等な法律である。

 アベノミクスは、意図的か否かは別として、結果として紛れもなく「強きを扶(たす)け、弱きを挫(くじ)いて」いるのが最大の欠点であり、労働者派遣法の規制緩和はその象徴である。

 アベノミクスは、日本経済の「賃金の上がらない」構造と体質からの脱皮策を最優先課題として、出直しを急ぐべきである。

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2015年11月04日 15:19

コンビニ飯でもここまでできる、、、何をどう摂る以前に、まずは悪いものを摂らないことから。。。

■最新がん予防策、「ハーバード式スープ」とは
コンビニ飯なら「条件を絞って」選んでみよう

丸田 みわ子 :シニア野菜ソムリエ

日本人の2人に1人が「がん」になると言われている現代。そしてがんの原因の35%が食事にあると言われています。その原因というのは主に、体内にある食べ物の残留物。老廃物とも言いますが、それらが酸化することで、様々な疾患を生み出してしまうのです。

そんな老廃物を掃除してくれるのが、野菜や穀物の食物繊維。これ自体はよく聞く話ですが、その摂取方法を工夫することでより抗酸化作用が高まり、生活習慣病の罹患リスクが減るということがわかってきました。

毒素から体を守る救世主、どう摂取する?

ハーバード大学では、がん研究と共に「免疫栄養学」という学問を打ち立て、日本人医師の高橋弘先生も交え野菜に含まれる「ファイトケミカル」の研究を行っています。その結果、老廃物から発生する「活性酸素」を撃退できるのはファイトケミカルだけだという結論に達したそうです。

ファイトケミカルはタンパク質や炭水化物(糖質)、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素の中には含まれず、体の筋肉や骨の生成、糖質や脂質の代謝などの働きはありません。しかし、抗酸化作用、抗がん作用、免疫力強化という3つの作用があり、体内の毒素から体を守ってくれます。

このファイトケミカル、動物性食品にはほとんど含まれないので、野菜や穀類から摂取するのが効果的。さらに病気予防や治療食として活用するには、年中手に入りやすいキャベツ、タマネギ、ニンジン、カボチャを「野菜スープ」にしていただくのがいちばんのようです。

これら4つの野菜で作る野菜スープを毎日・毎食いただくと、生活習慣病の罹患リスクが確実に減り、血圧や肝機能値の適正化、体重の減少まで望めるそうです。そのうえ、病気がちで薬を手放せない人の「減薬」にもつながるとのこと。

「スープ」という調理法を推すのには理由があります。水から加熱調理すると野菜の切断面からファイトケミカルが溶け出すので、汁まで飲むスープであればムダなく摂取することができます。そして具として野菜を食べることで、食物繊維もしっかりいただけるのです。

キャベツ、タマネギ、ニンジン、カボチャの4つが選ばれた理由は、様々な野菜の組み合わせを試した結果いちばん食味がよかったことと、年間を通して手に入りやすいこと。ただ、ほかの野菜にもファイトケミカルは入っているので、好みや補いたい栄養素に応じて、皆さんでアレンジしてみてください。

風邪予防に効果的なビタミンCは、葉もの野菜なら(多少の含有量の差こそあれ)ほぼ含まれています。キャベツやタマネギの代用としては、レタス、チンゲン菜、サツマイモ、ジャガイモなどがいいでしょう。

粘膜の健康維持、夜間の視力維持などの助けになるビタミンA(野菜ではβカロテン)は、ニンジン、カボチャに含まれます。ほかの野菜なら、トマト、パプリカ、緑黄色野菜で代用できるでしょう。

体内の脂質の酸化を防ぎ体を守るビタミンEは、ニンジン、カボチャなどに含まれています。これらの代役としては、パプリカ、赤ピーマン、ほうれん草あたりが適切です。

コンビニで探すなら、条件を絞ろう

キャベツ、タマネギ、ニンジン、カボチャが必須!と考えてしまうと、見つけるのが難しくなってしまいますので、「野菜をカットして加熱調理してあること」「ファイトケミカルとビタミンA・C・Eが溶け出ていること」の最低条件に絞って探してみましょう。

〈みわ子流、ファイトケミカルを摂れるコンビニ飯!〉

●クラムチャウダー
摂れる野菜はニンジン、タマネギ、ジャガイモ。アサリやミルクも含まれるので、一緒にタンパク質と鉄分、亜鉛も摂取でき、冷え予防にもなるでしょう。

●野菜が摂れる餃子スープ
摂れる野菜はニンジン、ほうれん草、タマネギ。餃子や卵もいただけるので、タンパク質補給はもちろん、満腹感も得られるでしょう。

●豚汁
摂れる野菜はネギ、ニンジン、サツマイモ、もやしなど。豚肉からビタミンB群が摂れるので、疲れやすい体の回復にいいでしょう。

●フォー
摂れる野菜はパクチー、ニンジン、タマネギ、もやしなど。鶏肉でタンパク質、米麺で炭水化物も摂取。一皿で五大栄養素が摂れ、栄養バランス抜群です。

●スンドゥブ
摂れる野菜はほうれん草、ニンジン、タマネギなど。卵や海老も入っていて具だくさん。生姜、ニンニク、唐辛子といった香辛料はエネルギーを燃やしてくれるので、新陳代謝もよくなるでしょう。

●カボチャスープ
摂れる野菜はカボチャ、タマネギ、パセリ。カボチャは加熱すると炭水化物化するので満腹感も得られ、体が温まるでしょう。

「ハーバード式野菜スープ」は確かに健康的ですが、が毎日続くと飽きてしまいそうですよね。そんなときにこそ、機能成分はそのままに外出先でも理想に近いスープをいただけるよう、上のメニューを参考にしてみてください。

[東洋経済ONLINE]

Posted by nob : 2015年11月03日 18:17

すべては偏った結果論、、、結局は患者本人の決断こそが唯一無二の正しい選択。。。

■川島なお美さん 手術遅かったとの指摘は間違いと近藤誠医師

「もっと早く手術していれば…」の指摘は正しいのか

 9月24日、川島なお美さんが胆管がんで54歳にして亡くなった。川島さんが胆管がんと診断されたのは昨年8月のことだが、その翌月に近藤誠医師のセカンドオピニオン外来を訪れていたことがわかった。

 近藤誠医師といえば、手術も抗がん剤も患者にとって有害だとする「がん放置療法」で知られる。他臓器に転移しないがんを「がんもどき」と名づけ、治療せずに放っておいた方が長生きできるというのだ。

 そんな近藤医師から川島さんはどんなセカンドオピニオンを受けたのだろうか。取材にあたり、近藤医師は患者のプライバシーに関わること、亡くなった人に対する守秘義務は生じないことを説明した上で、「話しておかなくてはならないことがある」と取材に応じてくれた。

「テレビの報道を見ていると、もっと早く手術していればとか、抗がん剤治療を受けていれば助かったのに、という趣旨のコメントが目立ちます。これでは視聴者が誤った認識に誘導されてしまうと危惧を抱いています。川島さんのケースから明らかなことは、手術が遅かったことではなく、手術をしても救えなかったという事実です。なぜそこを誰も突っ込まないのでしょうか」

 川島さんは一昨年の8月半ばに人間ドックのPET-CTで胆管がんを発見された。近藤医師のセカンドオピニオン外来にはCT画像などの検査データを持参していた。近藤医師のセカンドオピニオンはいかなるものだったのか。

「その時点で症状は出ていなかったのですが、確かにがんだとわかりました。胆管がんは肝臓、膵臓などと並んで予後の悪いがんのひとつです。症状がなくても、いずれ転移が出てくる可能性が高い。

 考えられる治療法は4つ。1、手術。2、ラジオ波焼灼術。3、放射線治療。4、様子を見る、です。川島さんはミュージカルの舞台を優先したいこと、そのためには今手術は受けられないこと、抗がん剤治療は体を傷めるので受けたくないことなど、はっきりした意志をお持ちでした。

 ぼくは『ラジオ波なら手術をしないで済むし、1ショットで100%焼ける。体への負担も小さい。そのあと様子を見たらどうですか?』と提案しました。『手術しても十中八九、転移しますよ』ともお伝えしました。むしろ手術することで転移を早めてしまう可能性もあるからです」

 セカンドオピニオンを受けて約4か月後の今年1月、川島さんは手術を受けた。しかし半年後の7月に再発。抗がん剤治療を拒否し、舞台に立ち続けた。そして9月、激やせした姿で記者会見を行った。川島さんの再発がどのようなものだったのか、施術した病院や医師からの発表はないが、近藤医師は再発の理由をこう分析する。

「手術後わずか半年で再発したのは、やはり手術が原因だったのではないでしょうか。手術することでがん細胞が暴れ出し、再発が早まることはよくあります。また、転移先のがんの増殖を抑える物質が初発巣(初めにがんができた部位)から出ている可能性についても近年わかってきました。テレビに出てくる医者には、川島さんはもっと早く手術するべきだったと言う人がいますが、もっと早く手術していたら、もっと早く再発し、死期を早めていた可能性もあります」

 もう1点、他の医師たちから疑問の声が上がった川島さんの“抗がん剤拒否”については、「賢明な選択だった」と近藤医師は言う。

「医者からはかなり強く勧められたようですね。でも、もし手術後におきまりの抗がん剤治療を受けていたら、あのように舞台に立ち続けることはできなかった。抗がん剤を受けなかったからこそ、彼女は死の1週間前まで舞台に立ち、毅然とした態度で記者会見を行うことができたのです。実にあっぱれな生き方だったと思います」

 最後に、川島さんも毎年受けていたという有名ブランド病院の人間ドックについて。「これだけは言っておきたい」と、近藤医師は警告する。

「高級な人間ドックに行くと、最先端の検査機器がたくさんありますから、胆管がんのような見つけにくいがんも発見されます。川島さんの胆管がんも、ご本人がおっしゃっていたように早期発見でした。それでも治らないのですから、早期発見しても意味がない。早期発見するほど手術も早まるから、人間ドックでがんを見つけられると早死にすることもあるわけです。川島さんのケースも残念ながら、人間ドックの被害者と言えるかもしれません」

◆近藤誠(こんどう・まこと):1948年生まれ。慶應義塾大学医学部放射線科講師を2014年3月に定年退職。「乳房温存療法」のパイオニアとして知られ、安易な手術、抗がん剤治療を批判。現在「近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来」を運営。著書に『がんより怖いがん治療』、近著に倉田真由美氏との共著『先生、医者代減らすと寿命が延びるって本当ですか?』など。

[NEWSポストセブン]

Posted by nob : 2015年11月03日 18:04

支持。。。(3/3)

■東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

史上最低の「アベ政治」と
「SEALDs」という名の希望の光
――木内みどり×広瀬隆対談【後篇】

反原発集会、安保反対集会の
定番司会者になったのは……

広瀬 木内さんは反原発集会、安保反対集会などの司会をやってくだっています。
 僕も木内さんの司会をかなり聞いていますが、本当にいい! 会場の笑いを誘いながら、僕らが思っていることをズバリとストレートに言ってくれます。

木内 4年前に初めて司会をお引き受けしたときはびっくりしました。
 司会といっても進行台本はありませんし、段取りの打合せもありません。話す人の順番を書いたリストだけ渡されます。

 それなのに突然「3分間フリートークでつないでください」なんて言われるんですから(笑)。
 トンデモナイことを引き受けてしまったと思いました。

広瀬 でも、木内さんは、すでに物事の本質を理解しているし、話し手の考えをすぐに理解して、即興で元気に怒りを伝えてくれるから、こっちも「そうだ! そうだ!」と盛り上がるんです。

木内 ありがとうございます。でも、最初の頃は、3日くらい前から勉強してから行きました。「大江健三郎さんってどんな方なんだろう。最近はどういう発言をしているんだろう」とか、登壇される人たちのことをたくさん調べていきました。
 だって話す内容も、いくつもいくつも持っていないと、「3分間つないでください」と言われた瞬間に真っ白になってしまいますから。

広瀬 木内さんはカンパを集めるのも上手ですよね。

木内 今年5月3日に横浜で行われた「憲法大集会」のときは、スゴイ金額が集まったと聞きました。

 私は司会を始めたら、絶対に舞台から降りません。参加している人をずっと見ています。
 あのときは、カンパを入れる袋が透明のビニール袋で、1000円札を入れているのが見えたのです。
 それで「みなさんの怒りが本物になってきました。1000円札を入れてくださっているのが、ここからよく見えます」と言いました。
 そう言われると、次の人は1000円札以外を入れにくい(笑)。
 そんなことを3回くらい言ったのです。
 そうしたら数日後にスゴイお金が集まった、と連絡を受けたのです。みんなびっくりして、3回数えたそうですけど。

広瀬 あの日は大変盛り上がりましたね。

木内 普段は丁寧な言葉で話される大江健三郎さんが初めて「安倍総理」と言わないで、「安倍」って呼び捨てにしたのです。
 そんなことはそれまで一度もなかったので、驚きました。

普通の人が
「自分の言葉」で話す集会に

広瀬 木内さんが司会を始められた頃と、現在とを比べて集会の変化を感じますか?

木内 参加者のみなさんが変わってきていると感じています。
 最初は組織から動員されてきている人が多かったように思います。
 高齢の方の割合も多く、自主的に参加しているわけではないので、なんだかつまらなそうな方もいたし、なかには寝ている人もいました。
 そういう人たちをなんとか盛り上げようと思って、大きな声を出したり、ときにはちょっと黙ってみたり。

 黙ると、「どうしたの? この人、言うことを忘れちゃったの?」と思ってこっちを見てくれます。
 そんなふうに人の気持ちをつかもうという努力はしてきたつもりです。

広瀬 さすがに女優です。舞台をつとめる役者ですよ。

木内 そのうちに、登壇してくれる人たちに愛情が湧いてきたのです。
 本当に日本の宝のような人たちだと思う。
 ギャラはないし、交通費も自腹。だからこの人たちが話しやすい場をつくろうと一生懸命でした。そのうち、「いい司会でした」と何人もの方が言ってくださるようになり、大江健三郎さんが「ありがとう」と言ってくださったりと、うれしいことがあるのです。

 でも、困難なこともありました。
 2014年2月の都知事選で、舛添要一さんが圧勝したときです。
 あの時期、私も相当いじめられました。「おまえが余計なことをするから票が割れた」と言われて、本当に辛い時期があったのです。
 それで、二度とこんなことをやるものかと思ったりもしました。

広瀬 反原発派が、2つに割れてしまいましたからね。

木内 でも、その後の集会で、もう一度、参加者に本気でお願いしたんです。

「私たちは脱原発という同じ目的を持っている。労働組合だ、共産党だとこじれて仲違いしてしまったけれど、もう一回、元に戻りましょうよ」と。
「内輪の対立なんか、乗り越えていきましょう。本当の敵は、あっちです!」と国会議事堂を指差したのです。

最悪の状況と
「SEALDs」という希望

広瀬 その通りです。だって、敵は好き放題やって、日本が現在のようなひどい状態になったのですからね。その敵を倒さなきゃ。

木内 安倍さんが、ここまで日本をメチャクチャにするとは思わなかったですよね。
 アメリカの経済誌『フォーブス』が作成している2014年版「世界で最も影響力のある人物」ランキングで安倍さんは63位。「国家指導者」としての国際社会での地位が、こんなに低いなんて、恥ずかしいと思います!
 国際的な政治・経済の世界において、安倍さんの順位の低さは、ただごとではありません。先進国ではなく、滅亡に向かっている国家のようです。

広瀬 そう言われると、世界の首脳で魅力ある人間が一人もいないのが、今の地球です。僕らが若い頃はいましたよ。ホー・チミン、周恩来、ナセル、ネルー、スカルノ……。今は魅力ある政治家が一人もいないけれど、安倍晋三がそのクズの中で一番ひどいんだから。

木内 でも、最近のSEALDsの登場は、集会参加者の雰囲気を大きく変えてくれました。彼らが登場する前に、こんなことを話をしたことがあります。

「○○はやめろっ!」というのは古すぎるし、音楽をもっと使いたい。それに、有名な人ばかりがしゃべらなくてもいい。若い人が自分の言葉で自分のことを話してほしい。そのほうが多くの人の賛同を得られるはずだから、と。

広瀬 たしかにSEALDsは、木内さんが言っていたことを全部やっています。奥田愛基《あき》さんの話には、ユーモアがあっていい。真剣で、しかも愉快ですよ。

反骨の報道写真家・
福島菊次郎の生涯

木内 反骨の報道写真家・福島菊次郎さんが入院されていたことは知っていましたが、具合が悪いと聞いて、SEALDsのことを伝えなくてはと思いました。
 菊次郎さんは、被爆者、自衛隊、公害、祝島の原発反対運動、震災後の福島などを取材し、問題点を訴え、国にずっと逆らって生きてきた人です。

 その反骨ぶりたるや、ものスゴイ。
 軍需工場に潜入して写真を撮ったときも、「写真家は法律を破ってもいい。本当のことを国民に見せるのが仕事だから」と言うくらい「気骨のある人」です。
 でも、60歳のときに、日本というこの国に絶望して以来、瀬戸内海の無人島でひとり暮らしをしていたのですが、ガンになって……。それからは故郷の山口県柳井市に戻り、ひとり暮らしを続けていました。
 90歳をすぎた頃、『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』というドキュメンタリー映画ができて、それが評判になり、いろんな映画祭の賞も受賞しました。90歳をすぎて「時の人」になったのです。
 東京での上映会、大規模な写真展、そして講演会はいつも満席でした。
 94歳をすぎて体力も落ちてしまったある日、病院に入院しました。
 私も、そのことは知っていましたが、具合があまりよくないと聞いたある日、映画のプロデューサー・橋本佳子さんと二人でお見舞いに行きました。
 ベッドの上の菊次郎さんは体重が29キロまで減ってしまっていて、ベッドから起き上がることすらできませんでした。
「遠いのに、よくきてくれたね」と幾度もそうおっしゃって、繋いだ手を離そうとされませんでしたから、ずっと、手を繋いでいました。
 私は、iPadで国会前の様子の動画や写真をたくさん見てもらい、こう報告しました。

「今、国会前で安倍政権に抗議の声をあげている人たちの数は日々増えています。新聞・テレビは報道しようとしませんが、インターネットの時代です。フェイスブックやツイッターでの拡散力はすさまじく、次から次へと伝わっていきます。
 そして、SEALDsという大学生たちが立ち上がりました。今までの抗議にない運動のスタイルで、新鮮で感動します。自分のことを自分の言葉でスピーチします。
 本気の言葉はやはり聴く人に響きます。ずっと見てきて感じたのですが、彼らの本気の抵抗には、菊次郎さんの本気の抵抗が受け継がれてると思うのです。菊次郎さんのこれまでの抵抗は無駄ではなかったのです。菊次郎さんの反骨の種は、これからもずっと受け継がれていくと思います」

 菊次郎さんの目には、涙がにじんでいました。

「若い人たちに、何か言うことがありますか」と聞くと、
「僕はこんなになっちゃったからもうそこには行けないけれど、みんなにありがとうって伝えてね。よろしくって」とおっしゃっいました。

 お見舞いから帰ってきた日、国会前では深夜2時半をすぎても、雨の中、デモが続けているSEALDsとたくさんの人がいることを知って、私は菊次郎さんのエールを伝えなくてはと思い、深夜の雨の中、温かい飲み物を差し入れに持っていきました。
 流れに乗っていつの間にかスピーチ台に乗って、みなさんに話しました。
 菊次郎さんのお見舞いに行ったこと、みんなががんばっていることを伝えたこと、菊次郎さんが涙をにじませて、みんなに感謝と激励の言葉をくださったことを伝えました。
 その場にいた全員に、菊次郎さんの最後の想いが伝わったと思います。

 9月23日の代々木の安保法制反対抗議集会で、私は司会でした。
 菊次郎さんの容態が悪化して、点滴と酸素吸入が入っていると聞いていましたから、菊次郎さんのお世話をしてくださっている森田さんに電話でお願いしました。
「明日の集会には3万人もの人が集まります。その人たちに何か伝えたいことがありますか……と菊次郎さんに聞いてください」と。
 もう菊次郎さん、想いはあっても言葉にはならず、ただ、拍手をしてくださったそうです。
 23日の集会でそのことをみなさんに伝えました。
 そして翌日、9月24日に亡くなったのです。

広瀬 福島菊次郎さんの魂は、SEALDsをはじめとする若い世代に受け継がれていくでしょう。

木内 そうですね。彼らは超・優秀だけれども、普通の大学生。自分の言葉で自分のことを、なぜ抵抗するのか、何に抗議するのかをしゃべる。だから、力がありますよね。
 彼らはものすごく先を見ています。代々木公園の集会で、奥田愛基さんはこう言いました。
「安保法制が通っちゃった日、朝5時までずっとデモしていました。なぜかと言うと、終電を逃しちゃったからです。電車がないから、タクシーでは帰れないから、始発が出るまでコールを続けた。でも夜があけたら、まるで新年を迎えたようにさわやかだった」って。疲労感もないし、挫折感もないって。
 ここに新しい希望がある、そう思いました。
 その後、奥田愛基さん、本間信和さん、牛田悦正さん……私がつながりを持てた3人には、福島菊次郎さん最後の写真集『証言と遺言』(DAYS JAPAN刊)を送りました。
 こうやってこれからも本当のことはつながっていくのだと思います。
 本気の人から本気の人へと、本気の種が。
 そう、つなげていかなければ……。私たちのこの国のために。この国のこれからの人たちのために……。

(おわり)


□なぜ、『東京が壊滅する日』を
緊急出版したのか――広瀬隆からのメッセージ

 このたび、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』を緊急出版した。

現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。

 2011年3~6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文部科学省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。

東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。

 映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(1951~57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。

 1951~57年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離だ。

 核実験と原発事故は違うのでは? と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウムよりはるかに危険度が高い。

 3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。

不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。

 子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。

 最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?

 同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。

<著者プロフィール>
広瀬 隆(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『日本のゆくえ アジアのゆくえ』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。

木内みどり(Midori Kiuchi)
女優。1965年劇団四季に入団。初主演ドラマ「日本の幸福」(1967/日本テレビ)、「安ベエの海」(1969/TBS)、「いちばん星」(1977 /NHK)、「看護婦日記」(1983/TBS)など多数出演。映画は、三島由紀夫原作『潮騒』(1971/森谷司郎監督)、『死の棘』(1990/小栗 康平監督)、『大病人』(1993/伊丹十三監督)、『陽だまりの彼女』(2014/三木孝浩監督)、『0.5ミリ』(2014/安藤桃子監督)など話題 作に出演。コミカルなキャラクターから重厚感あふれる役柄まで幅広く演じている。3・11以降、脱原発集会の司会などを引き受け積極的に活動中。Web Magazine :「木内みどりの発熱中!」

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2015年11月02日 10:30

共感。。。(2/3)

■東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

国道6号・常磐道を走るクルマが、
東京に“死の灰”を運んでいる!?
――木内みどり×広瀬隆対談【中篇】

「もう一回原点に戻りたい」
と思って書いた本

木内 『東京が壊滅する日』を手にとったとき、最初は戸惑ったんです。
 ここに書かれている現実を、受け入れなくてならないだろう、と思ったからです。
 読みはじめてみると、やっぱりスゴイ事実がいっぱいあって。事実に目を背けてはいけないなと思いました。それで広瀬さんにお礼を言わなきゃと思いました。

広瀬 なぜですか?

木内 この本に出てくることは、広瀬さんの長く激しい人生の努力の結晶。それを抽象論ではなく具体的な固有名詞で断罪! 惜しげもなく闇の世界のことを全部出してくださって。覚悟の度合いが違うと思いました。

広瀬 僕は、どうすれば本当に原発を止められるか、いつも考えてきたつもりです。
 ところが、世論調査では100%勝っているのに原発が再稼働してしまう。

 そこで僕は、政治運動でなく、デモのような大衆行動で、一人ずつが社会を変えなければダメだと思っています。青森ではそういう体験があります。

 僕は再処理工場の核燃サイクル反対のために1985年から青森に入り、あらゆる農協を回りました。
 真冬が農閑期なので、寒い日々の中でしたが、10人くらいの集まりでも、100人の集会でも、絶えず放射能の危険性について、くわしく話しました。
 すると、やがて保守ゴリゴリの青森県が変わり始め、1988年の選挙のときは再処理工場反対の人が大勝したのです。
 つまり、選挙というのは、日々の活動があって、その結果が出るのです。

木内 それはすごいですね。

広瀬 でも次の選挙では、みんなが放射能のことは言わず、「誰々に投票してください」という、例の選挙運動になりました。
 僕は「これは危ない」と感じました。具体的な内容を言わずに「この人に投票してください」と言っても、人の心は動かせません。
 現在でも、中身のあることをどんどん言っていけば、人は変わるはずです。絶えず、言い続ける必要があります。

 先月、木内さんが本ステージで司会をした代々木公園の大集会でも、第二ステージでたくさんの人が、被曝問題を語ってくれていたので、うれしかったです。あの中身が大事なのです。

 同じように、もう一回原点に戻りたいと思って書いたのがこの本です。
 担当編集者から、嫌になるくらいしつこく質問されました。
 これは忍耐だと思って、忍耐に忍耐を重ねて丁寧に加筆していきました。この編集者を変えないと、世の中を変えるなんて夢のまた夢ですからね。

 結果として、それがよかった。僕にとっては当たり前のことになっていたことも、改めてわかりやすく書くことができました。苦労はしましたけど……。

東京でガン、心筋梗塞、
白内障、白血病が激増する!

木内 そうだったのですね。おかげで、とっても読みやすかったです。
 スゴイ事実が書かれていますけど。東京でも放射能の影響が出ているのですね。

広瀬 結論を言うと、東京を含む東日本地域住民の中で、これからガンや心筋梗塞などが必ず激増します。いやもう、その段階に入っています。

木内 放射能の影響というと、甲状腺ガンに代表されるガンの話になりがちですが、心筋梗塞も増えているんですか?

広瀬 セシウムは、ナトリウム系列の元素で、体に吸収されやすいという特徴があります。筋肉にたまりやすいので、絶えず筋肉が動いている心臓にたまります。

 心筋梗塞はすでに福島ではかなり増えています。ときどき福島から「また若い人が心筋梗塞で死んだ」という電話がかかってきます。
 そのたびに暗澹たる思いになります。また、放射性セシウムが角膜に付着すると微量でも、3~5年ぐらいから白内障が出始めます。子どもたちの目が混濁してきて見えなくなり、最悪の場合、失明をします。

木内 フクシマ原発事故のとき、東京にも放射性物質が飛んできたんですよね。

広瀬 福島から首都圏の千葉・東京に至るまでの太平洋側は、途中にまったく山がないので、事故後、4月になっても5月になっても、東京の新宿高層ビル街には、南下した高濃度の放射能雲が直撃し続けました。

 そのとき都内の人の多くは、ごく普通の生活をしていました。通勤・通学していたり、外で遊んでいたり。そのときに放射性物質を吸い込んでしまったのです。これは時限爆弾ですから、時間とともに身体を蝕んでいくでしょう。

木内 国道6号線と常磐自動車道を通る自動車が、東京に放射性物質を運んだという話も聞きました。

広瀬 自動車の群と、東北新幹線が、タイヤと車体によって広範囲に「死の灰」を拡散しています。今でもです。
 一番怖いのはプルトニウムや、ストロンチウムのような「ホットパーティクル」です。ホットというのは「エネルギーが大きい」という意味です。

 プルトニウムを吸いこんでしまうと、気管支や肺にへばりついて、同じ場所に放射線を浴びせ続けるという結果になります。一度、肺に入って付着したホット・パーティクルが、体の外に出ることは、まずありません。

 ストロンチウムやプルトニウムのような物質は、「遠くに飛ばない。おそらく敷地内にたまっている」なんて話をする学者もいますが、まったくのデタラメです。

 微粒子となったガスなので、空気に乗って遠くまで運ばれますし、細胞を直撃するアルファ線やベータ線を発する放射性物質です。アメリカで検出されているのだから、プルトニウムは重いから遠くに飛ばないなんていう話には、根拠がありません。
 セシウムは「測定できる」から騒いだけれど、ストロンチウムやプルトニウムは「簡単に測定できない」から、話題にならなかっただけです。
 2011年3月の連続爆発でまき散らされたのは、ガス状のあらゆる放射性物質です。さまざまな「時限爆弾」が体をむしばんでいることは間違いありません。

 東京都文京区にある順天堂病院では、2011年に比べて、2013年のあらゆる疾患が2倍から10倍近くに増えています。

 この事実は、重いです。来年から、「時限爆弾」はいよいよです。

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2015年11月02日 10:20

感動。。。(1/3)

■東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

避難中の11歳男子が
「アベ政治を許さない」と
デモに参加した姿に涙!
――木内みどり×広瀬隆対談【前篇】

『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第6刷となった。
本連載シリーズ記事も累計250万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者と、女優の木内みどり氏が初対談!
木内みどり氏は、原発問題に関して、各種市民集会の司会を務めている。
8月11日の川内原発再稼働後、豪雨による鬼怒川決壊、東京で震度5弱、阿蘇山噴火、南米チリ沖マグニチュード8.3地震による津波余波など、日本列島を襲う自然災害が続出している。
これを受け開催された、10月23日の広瀬隆氏の緊急特別講演会も大盛況だったという。
本誌でも、これまで計28回に分けて、安倍晋三政権および各電力会社社長の固有名詞をあげて徹底追及してきた。
だが、なぜ再稼働をするのか? いまだ明確な説明がなされていない。
地震や自然災害が多発する中、注目の対談1回目をお届けする。
(構成:橋本淳司)

夫の県知事選の手伝いで
気づいたこと

広瀬 木内さんが原発反対だということを、僕は、フクシマ原発事故が起きるまで知りませんでした。

木内 私は事故後に反原発になりました。原発の真実や事故の影響について知るうちに、「こんなものはあってはいけない」と、遅まきながら気づいたのです。

広瀬 ご主人の水野誠一さんが静岡県知事選に出られたとき、浜岡原発停止を訴えていたことは知っていたのですが、水野さんと木内さんが、僕の頭の中では結びついていませんでした。

木内 14年前、水野が静岡県知事選に出たときに、候補者の妻として暑い暑いひと夏、朝から晩まで一緒に走りました。

 あのとき、どこへ行っても水野が「浜岡原発を止めたい」と言うのです。すると、聞いている人たちが「厄介な話を始めたな……」とシラケて、引かれてしまうことに気がつきました。

 当時の私は、原発についてまったく理解していませんでしたから、
「ねぇ、原発の話はやめましょうよ。みんなシラケるでしょう」
 なんて言うほど無知でした。

広瀬 事故が起きるまで、多くの人が原発は安全だと思っていましたから。

木内 じつは、水野の父が浜岡に原発を誘致した人なのです。
 当時の多くの人たちと同じように「原子力 明るい未来のエネルギー」と考えていたのでしょう。

 しかし、チェルノブイリで原発事故が起きました。水野は驚いていろいろ勉強しまして、「父が生きていたら絶対に止めたいに違いない」と思い、原発に反対するようになりました。

広瀬 今では、木内さんが反原発集会や安保反対集会の司会をしてくださったり、鹿児島市内で、誰もいないところで、一人でビラを撒いてくださっている姿を見て、この人は本物だなと思いました。

木内 以前は国会議員に何か言ったりするなんて考えられなかったし、怖かった。自分はただの一市民で、国会議員さんなんて2つも3つも上のステージ上にいる人という感覚があったんです。
 でも、 少しずつわかっていきました。
 自分の思うことを自分のできる範囲で動けばいいんだって。人生は一度きりで終わりがある。
 だから、自分らしいやり方でこれからも行動していきたいと思っています。

ロンドン、ニューデリーで
反原発スピーチ

広瀬 木内さんは外国も走り回っていますね。イギリスの日本大使館の前でスピーチしたという「東京新聞」の記事を見て、ビックリしました。

木内 なんだか、あれよ、あれよという間に、そういう流れになっちゃったのです。私も逃げるわけにいかないと思ってスピーチしました。
 そうしたら、「東京新聞」と「中日新聞」のヨーロッパ総局長がやってきて、記事にしてくれました。
「木内みどり、英国の日本大使館の前で日本政府を批判」って。
 あれから私も、覚悟しないとダメだなと思いましたけど(笑)

広瀬 筋金入りだ。そのあとはインドのニューデリー?

木内 ニューデリーで、たまたま2日間、時間が空きました。
 私、何もしないのは時間がもったいないから、ニューヨークに住んで原発のことをやっている友達と、ロンドンに住んで原発のことをやっている友達2人に、「ニューデリーで脱原発運動をやっている人を紹介して」とメールをしたら、2時間後に2人とも同じ人物を紹介してくれたのです。会いにいったら、その人は日本から反原発の活動家が会いにくると思ったみたいです。
 私が女優だとわかるとびっくりしていました。それで、ニューデリーでも英語でスピーチしちゃって。
 自分でも、変わった人生を歩んでいるなあと思います。

広瀬 行動力がありますね。
 でも、木内さんだけでなく、いまの日本中の運動を見ていると、リーダーが率いる運動ではなく、どこの土地でも一人ずつが知恵をしぼって、次から次へと勝手に行動を起こして、私も追いつけないほど、集会やデモや、ハンストが行われています。
 このような個々の人の、個性的な、自分の年齢と、体験からにじみ出てくる活動力が、まったく衰えないというのは、たいしたものです。
 ところで、外国で演説する木内さんは、英語はペラペラですか?

木内 全然なんです(笑)。自分で文章を組み立てて、英語のできる人に直してもらって、原稿を持って読んでいます。

広瀬 女性は度胸があって、ものおじしないからいいです。外国にゆくと、どうも男はプライドが高くて、会話がダメですよ。

11歳の少年が掲げた
「アベ政治を許さない」

木内 でも、この4年近く続けてきて、私の本気さをわかってもらえるのか、最近、福島で被災した人や、避難している人が話しかけてくださるようになりました。
「脱原発のことを本気でやってくださってありがとう」と言っていただくと、やはり、うれしいです。

広瀬 私の福島の仲間たちも、木内さんのことを本当に頼もしい人と思っていますよ。

木内 先日、福島から避難しているお母さんと話をしていたら、彼女が涙を流されたのです。
 その様子を小学高学年くらいの息子さんが行ったりきたりしながら見ていたのです。
「夏休み、長いんでしょう。東京に私の家に泊まりにこない?」
 って考えもなしに言ったら、「行く」ってその少年が言うんですよ。
 結局、2泊3日でうちに泊まりにきてくれました。

 浅草に行ったりとか、六本木ヒルズに行ったりとか、ギャラリーを見に行ったり、ほとんどの時間一緒にいて冗談ばかり言って一緒に笑っていました。
 うちには「アベ政治を許さない」というあの大きなチラシを、どこからでも見えるように貼ってあるので、その子が帰るときに、「この前で写真撮ろうか」となにげなく言うと、「うん」と言って「アベ政治を許さない」と並んで立ったら、顔がすっと変わりました。
 冗談を言っていたときとは全然違う顔をしていました。

広瀬 その少年は、何か言っていましたか?

木内 そのときは、そのことには触れずに別れました。
 ところが、その子が家に帰ったら、お母さんに、「安保反対のデモはどこであるの?」と聞いたそうです。「行きたい」って言うんですって。
 あとからお母さんが、彼が「アベ政治を許さない」と書かれたプラカードを掲げてデモに加わっている写真を送ってきてくれました。
 それを見たら涙が出ちゃって……。原発事故以来、彼の中にあったモヤモヤした怒りみたいなものが、こういう形で表れたんじゃないかなって思います。

広瀬 木内さんの本気が、言葉にしなくても伝わったんじゃないですか。

木内 そうだとうれしいです。その後もお母さんからメールがきて、
「また息子がデモに行きました。今度は友達を誘って行きました」
 って。今度は2人の少年が「アベ政治を許さない」と書かれたプラカードを掲げていました。感動しましたね。
 人は、人の本気が響いて初めて動く。お金や物や地位で動く人ばかりじゃない、ということですよね。

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2015年11月02日 10:01